訪日客の地方誘客強化 空港の受け入れ環境支援 24年度、国交省

 国土交通省は2024年度、インバウンド(訪日客)の地方誘客支援を加速させる。国際線の運航が再開した地方空港で受け入れ環境を整備するとともに、食や文化などテーマ性を重視した観光コンテンツづくりに力を入れる。旅先を分散してオーバーツーリズム(観光公害)対策につなげていく。
 空港の国際競争力を高めるため、手続きの円滑化や旅客動線の合理化を図る「ファスト・トラベル」を推進する。24年度予算案に15億6千万円を計上した。地方空港を中心に、国際線利用者らの混雑改善を支援する。手荷物検査を搭乗までに自動で行うシステムの導入や、富裕層が多く利用するビジネスジェットの専用動線確保にかかる費用を補助する。
 多様な食習慣や文化的習慣を持つ訪日客に対応した「インクルーシブツーリズム」の促進に新たに8千万円を計上した。ビーガン(完全菜食主義者)向けのメニュー開発や礼拝所の用意など、地域の観光関係者が受け入れ環境を一体的に整備するモデル事業を実施する。その土地ならではの食文化に触れる「ガストロノミーツーリズム」の支援にも新たに2億円を充て、自治体や民間事業者による拠点整備やコンテンツづくりを後押しする。県内でも23年10月に官民連携の推進組織が発足している。
 政府は観光立国推進基本計画を23年3月に改定し、観光公害を念頭に訪日客の地方分散を柱に据えた。地方での宿泊数を25年までに1人当たり2泊とする目標を立てている。観光庁が23年12月に公表した宿泊旅行統計によると、県内の10月の外国人延べ宿泊者数はコロナ禍前の19年同月比54・1%減だった。全国2番目の低水準で、国の支援策の活用が求められている。
 (東京支社・山下奈津美)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞