警備犬 被災の高齢女性発見 空自浜松基地が捜索 石川・輪島

 航空自衛隊浜松基地の警備犬ジェニファー号とハンドラー(指示役)の山口尚哉2等空曹(35)が能登半島地震で被災した石川県輪島市で、全壊家屋の中に丸2日間倒れていた高齢女性を発見した。空自の警備犬は各地の災害現場にいち早く投入されて成果を上げ、注目度が高まっている。

能登半島地震の被災地で活動した山口さん(左)、清水さんと警備犬ジェニファー号=浜松市の航空自衛隊浜松基地
能登半島地震の被災地で活動した山口さん(左)、清水さんと警備犬ジェニファー号=浜松市の航空自衛隊浜松基地


 第1航空団基地業務群管理隊所属の山口さんはハンドラー歴14年。第1陣として部隊の同僚清水健太3等空曹(30)と1月2日から5日まで輪島市周辺に入り、ほぼ不眠不休で捜索に当たった。3日夕方、行方不明者の情報を得た住宅に近づくとジェニファー号が隣家の窓の隙間に反応。真っ暗な家の中に飛び込み、床に倒れて動けない女性を見つけた。山口さんが保護した際、女性は会話もできないほど衰弱していた。
 ジェニファー号は雌のベルジアン・シェパードのマリノア種。山口さんとペアで国際救助犬資格を取得した空自でも希少な警備犬で、息、汗といった人が発する浮遊臭を探知し、普段は不審者対策の警備などに従事している。
 山口さんは3年前の熱海土石流災害でも別の警備犬と捜索を担い、要救助者を発見した。能登の現場について「人が入れない倒壊家屋ばかりで捜索が難しかった。今回は犬の能力が発揮された」と振り返る。今後の災害に向け、「頭数を増やし、初動で一気に投入できる体制ができるといい」と話した。
 (浜松総局・宮坂武司)

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