記者コラム「清流」 平和の尊さ 後世に

 幼い頃、友達と遊んだ神社の境内に石碑が立っていた。それが何か当時は分からなかったが、祖母からは「大事な場所やから近くで遊んだらあかんで」と注意を受けた覚えがある。その石碑が「忠魂碑」と知るのはずいぶん後のことだ。
 郷土の戦死者を祭る忠魂碑を巡り、維持管理の担い手不足などを理由に取り壊す動きがみられる。本県でも近年撤去の事例があり、こうした状況に歯止めをかけようと市民有志や学識経験者らが保存会を立ち上げた。歴史的価値の発信、自治体などへ保存に向けた働き掛けを行うという。
 終戦から78年以上がたち、戦争の記憶をどのように継承していくかが課題となっている。忠魂碑は戦争を知る上で貴重な史料とされる。平和の尊さを後世に伝えるため、活動が波及することを期待している。
(浜松総局・仲瀬駿介)

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