記者コラム「清流」 道のりは長くても

 とある子育てイベントに出演した男性が絵本を開いて「お母さんより、お姉さんのパンツがいいなあ」と一言。ほかの出演者からたしなめられてはいたが、幼い子どもたちが参加する場で、ステージに立つ側からそんな発言が飛び出すことに頭が痛くなった。
 それでも社会の変化を感じたのは、男性の発言に保護者からは笑い声が漏れ…なかった点。別で取材した地元団体による絵本の寄贈では、性教育の入り口として人気を集める絵本が贈られた。課題はまだ山積みだが、“性”を巡る社会の変化の波は足元まで届いているのだと希望が持てた。
 子どもたちがこれから育てていくまだまっさらな価値観に、大人がどんな色を落とすのか。社会の変化の波を止めぬよう、言葉を仕事にする人間として気を引き締める。
(清水支局・大村花)

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