記者コラム「清流」 夜間中学の「学び」

 静岡市の元教員が運営する民間の自主夜間中学「しずおか自主夜間教室」に10歳の娘がお世話になっている。子どもからお年寄りまで利用者とスタッフがいて、毎回交流している。
 記事は夜間中学を「学び直しの場」と表すことが多いけれど、実際利用者になると活動は多彩。教える、教わるという間柄よりも対等で、まさに「社会教育の場」。娘も帰り道「お姉さんが高校の内申点のことを教えてくれた」「おばさんと百人一首をやる約束をした」などと報告する。何の問題を解いたかより、丁寧に接してもらったことの方が印象に残っているのだ。
 勉強する場所は各所にあるけれど、優しいまなざしや尊重する姿勢など人生に欠かせない「学び」を授かる場所は貴重だ。娘もいつか、得た学びを他者に与えられる人になってほしい。
 (社会部・大須賀伸江)

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