記者コラム「清流」 未来の災害に備えて

 「あなたが住んでいる場所は海抜何メートルですか?」。東日本大震災の教訓を伝える「語り部」の男性の問いに、恥ずかしながら答えられなかった。南海トラフ巨大地震が想定される地域に住むのに、「海から遠いから大丈夫」とどこか人ごとだったことを猛省した。
 発災当時は中学生。それから13年を前に、初めて被災地を訪れた。宮城県の大川小で見た、天井が剝がれ落ちた教室や支柱ごと倒壊した渡り廊下―。数字で表れる津波の高さ以上の怖さを肌で感じ、失われたものの大きさや命の尊さについて改めて考えさせられた。
 3・11の教訓を未来の災害に備える知識に変えて、一人一人に自分事として捉えてもらえるような報道が必要だと感じた。そのためにはまず、自らの危機意識を高めなければいけない。
(磐田支局・崎山美穂)

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