記者コラム「清流」 少しの勇気

 休日のこと。外出先で高齢男性が倒れる場面に遭遇した。幸い大事に至らなかったが、周囲の人が男性に声をかけたり、介抱したりしている中、自分は頭が真っ白になり動けなかった。
 話は変わり、新聞記者は警察署で特殊詐欺未然防止の感謝状贈呈式を取材する機会がある。最近取材した中で一番印象に残っているのは、スーパーで詐欺を防いだ2人の女性。たまたまその場に居合わせ、早く振り込まなければと焦る被害者の高齢女性を根気よく説得し続けて被害を食い止めたという。
 「勘違いかもとも思ったけど、声をかけて良かった」。当時を振り返る2人の表情は誇らしげに見えた。とっさの場面で動くには思い切りが必要だ。そういう場面に居合わせたら次こそは、少し勇気を振り絞ってみようと思った。
(浜松総局・仲瀬駿介)

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