記者コラム「清流」 一流選手のふるまい

 中国を追い詰め、53年ぶりの世界一に迫った卓球の世界選手権で伊藤美誠選手(磐田市出身)のベンチでの姿が注目された。仲間に的確なアドバイスを送る姿は“監督”と話題になった。
 高速ラリーの中で戦術を構築する卓球は「チェスをしながら100メートル走をする競技」と称される。過去に伊藤選手から「頭も体もくたくた」という言葉を何度も聞いた。ベンチに座りながらも頭をフル回転させていたのは想像に難くない。
 集中力を保つためか、立ち上がって、声を上げる場面は少なかった。だが、その様子が一部ネット上で批判され、本人も交流サイト(SNS)で「私らしい応援の仕方」と胸中を吐露せざるを得なかったのは残念でならない。パリ五輪が5カ月後に迫った。一流選手のふるまいの意味を考え、スポーツを楽しみたい。
(運動部・山本一真)

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