全国車いす駅伝 静岡県代表11位 早春の京都駆け抜ける

 第35回全国車いす駅伝競走大会(同実行委主催)が10日、京都市内で開催された。全国の16チームが、国立京都国際会館前からたけびしスタジアム京都まで21・3キロの全5区間でそれぞれの持ち味を発揮し、早春の都大路を駆け抜けた。静岡県代表チームは1時間3分56秒で11位だった。

アンカーの桜井秀彦さん(右)にタッチする鈴木俊光さん=10日午後、京都市中京区の西大路御池
アンカーの桜井秀彦さん(右)にタッチする鈴木俊光さん=10日午後、京都市中京区の西大路御池

 各チームのエース級が顔をそろえる1区は昨年に続きチーム最年少の松永大護さん(21)=静岡市葵区=が務めた。ハイペースのレース展開に食い下がり、自己ベストを更新する力走を見せ10位でリレーした。第2回大会から今大会まで連続出場を続ける2区の市野隆さん(65)=富士市=は途中で2人を抜くなど粘り強い走りで順位を一つ上げた。海野剛さん(48)=焼津市=は上りが続く3区で向かい風に苦しみ順位を一つ落としたものの、手を休めず懸命に走り切った。
 高低差が大きい4区を担った鈴木俊光さん(67)=東伊豆町=は実力者がひしめく中、ベテランの意地で順当に5区へつないだ。2019年以来、2回目のアンカーを託された主将の桜井秀彦さん(47)=富士市=は家族の声援を受けて区間7位の好走。「持てる力は出せた」と納得の表情を浮かべた。服部保作さん(75)=裾野市=は全エントリー選手の中で最年長。今大会は控えに回り「繰り上げスタートも心配したが、みんなが踏ん張って完走できた」と安堵(あんど)した。
 鈴木秀明監督(61)=磐田市=は目標としていた1時間を切るタイムを出せず、残念そうな表情を見せながらも「(昨年より)順位は下がったが全員ベストを尽くしてくれた」と選手をねぎらった。
 大会は福岡Aチームが47分22秒で優勝した。
21歳松永さん奮闘 自己ベストマーク  昨年は8位で初入賞した静岡県代表。今年は低い気温と向かい風に悩まされ、順位を二つ落とし目標タイムにも及ばなかった。鈴木監督は上位進出への鍵を「新戦力の台頭」と指摘する。
 レースのポイントに挙げた1区は昨年に続き21歳の若手、松永さんに託した。面倒見の良いチームの先輩たちの指導で伸びた走力を発揮し、自己ベストの15分3秒をマーク。プレッシャーの中、期待に応えた。「ペースを考え、気持ちよく走れた」と松永さん。競技を始めてからずっと応援してくれた祖父を2月に亡くし、思いを天国に届けようと奮起した。さらなる成長に向け「後半のスパートのために、もっとスタミナとパワーをつけたい」と貪欲な姿勢を見せた。
 車いす競技は、練習場所の確保や競技用車いすにかかる費用負担など競技人口を増やすハードルは高いが、新たな力の発掘はチーム力強化に不可欠。鈴木監督は「若い世代がチームに加われば、ベテランと融合してチームはより活性化する。体験会などを通じ、競技の魅力を発信していきたい」と力を込めた。

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