記者コラム「清流」 善意に頼らぬ仕組みを

 先日、静岡県中学選抜野球大会で島田第一、二中の合同野球部が初優勝を飾った。初めて担当した中高生の野球取材。最も印象的だったのは、剛速球でもホームランでもなく、大会を支える大人の存在だった。
 監督やコーチ、保護者はもちろん、審判員や球場整備員など多くの人が朝早くから球場に入り子どもを支えていた。車で数時間かかる遠方から来ている人も多く、苦労がうかがえた。
 審判員の男性に話を聞くと、「ずっと野球をやっていたので、その恩返し」と笑う。部活動の多くはこうした住民の善意で成り立っているのが現状だが、男性は同時に「これでは後に続く人は少ない」と憂う。各地で地域スポーツクラブへの移行も進む中、金銭的補助も含め、善意に甘えない負担軽減の仕組みづくりが必要と感じた。
(島田支局・白鳥壱暉)

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