「登呂遺跡」利活用 日韓で議論、初の国際シンポ開幕

 2023年に発見80年を迎えた国指定特別史跡「登呂遺跡」(静岡市駿河区)の利活用策や学術的価値を探る日韓初の国際シンポジウム(市立登呂博物館主催)が16日、同区の同博物館で始まった。韓国から、同国で本格的な農耕文化が始まった遺跡の一つとされる「松菊里(ソングンニ)遺跡」(忠清南道扶余郡)の関係者を招き、登呂遺跡側の関係者と意見交換。交流を深め、両遺跡に新たな価値を創出していくことを確認した。17日まで。

遺跡の利活用策などを意見交換する両遺跡の関係者=16日午後、静岡市駿河区
遺跡の利活用策などを意見交換する両遺跡の関係者=16日午後、静岡市駿河区

 初日は「日韓における史跡の整備と活用の今後」と題し、両遺跡の行政関係者や大学教授がパネル討論した。
 1999年からの登呂遺跡の再発掘調査に携わった市観光交流文化局の岡村渉局次長は、現在の登呂博物館で行われている体験学習が定型的で簡単な内容にとどまっていると指摘。「遺跡の活用策について松菊里と情報交換するなど今後10年は交流していきたい」と展望を語った。
 韓国伝統文化大学校(同郡)の李基星教授は「大規模な共同研究はすぐには難しいが、まずは互いの遺跡にそれぞれの資料を置くなどできるところから連携することが大事」と強調した。登呂遺跡を長年研究する静岡大の篠原和大教授は「遺跡の比較研究は東アジア全体の農耕文化研究につながる」と期待した。
 東京都立大大学教育センターの山田昌久特任教授は、市民の学びや研究の発展につながるように、体験学習の内容を工夫することが重要だと強調した。
 17日は静岡大登呂農耕文化研究所が主催し、弥生時代の農耕の多様性について日韓の研究者が発表する。21日には本県側の研究者や行政関係者が訪韓し、現地で同様のシンポジウムを開く。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞