多世代輝く「居場所」づくり 介護職員がおでん屋オープン 静岡市

 現役の介護職員らが昨年末、静岡市駿河区池田に飲食店「おでん屋いっとく」を開店した。福祉に携わる立場から、誰もが気軽に立ち寄って語り合える居場所づくりに取り組んでいる。自慢のおでんを囲む親子=静岡市駿河区池田の「おでん屋いっとく」
 大井裕也店長(44)ら従業員は全員、日中は福祉施設で訪問介護士などとして働く。業務で高齢者と触れ合う中、多世代が輝けるコミュニティーを目指し、約3年前から準備を進めた。
 自慢の静岡おでんはかつおだしを効かせた優しい味わいが特徴。大根の皮むきや串打ちなど下準備は、勤務先の介護施設を利用する高齢者がボランティアで手伝う。高齢者自身が社会参画へのやりがいを感じ、手先を使う自立支援にもつながっているという。
 同店は子ども食堂としての役割も併せ持ち、おでんやジュースのセットを未就学児には無料、小学生には300円で提供している。子どもたちには自分の夢を書き込む「ドリームパスポート」を発行。来店時に努力した内容を店員に報告するともらえるスタンプを集めると好きなおでんと交換でき、食を通して夢の実現を応援する。
 東豊田小2年の泉和弥君(8)は「お兄ちゃんに立ち向かう勇気がほしい」という夢を掲げ、「おでんをいっぱい食べて強くなる」と目を輝かせた。
 皿洗いなどを手伝った中学生以上の学生には無料で定食を提供するルールも設け、幅広い世代の交流を図る。大井店長は「将来は学生や高齢者が子どもに勉強を教える寺子屋などもやりたい」と展望を描く。
 (社会部・薬袋貴信)

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