記者コラム「清流」 自然で働くこと

 山の急斜面で、送電線に枝が引っかかりそうな木があった。枝が送電線に触れないよう、木の折れる方向を決め、現場周辺の安全を確保する。林業の中でも長年の経験が要る作業だ。佐久間森林組合の作業員はチェンソーで溝をつくり、木が斜面の方向へ折れると安心した表情を見せた。
 連載企画で林業従事者に取材すると、森林を守る大切さや仕事の難しさが伝わってくる。一人前の従事者になるには長い時間が必要という。森林経営、木の種類、チェンソーの使い方など覚える分野は広い。
 取材した女性の一人は「自然の中で働くと体力が付くし、気持ちがいい」と笑顔を見せる。仕事内容は違うが、自然に囲まれた水窪支局で働く私も同じだ。これからも森を守る人々に話を聞き、林業の課題や将来を追いかけたい。
(水窪支局・大沢諒)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞