記者コラム「清流」 橋がつないだ歴史

 川根本町域の大井川本流には現在、約30本の橋がかかる。山間部では、川岸を中心に発展してきた歴史があり、両岸をつなぐ橋が現在まで町にもたらした恩恵は計り知れない。
 町民によると、橋がかかる前は、約50メートル離れた両岸でも違う方言を使っていたほど交流は少なかったという。当時の住民にとって、橋は異国への“架け橋”と呼べるほど、革新的だったに違いない。
 町の歴史は橋とともにあった。千頭と小長井を結ぶ川根大橋は、当初木製だったが、自動車の登場など時代の変化に合わせ、鉄製の桁橋にかけ替えられた。
 何げなく渡っている橋にも歴史がつまっている。島田支局から車で約1時間かかる同町への道のり。豊かな自然に目を奪われがちだが、人々の歴史に思いをはせながら走るのも面白い。
(島田支局・白鳥壱暉)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞