ヒマラヤ未踏峰 念願の登頂挑戦 浜松の登山ガイド石川さん 成功ならずも感動鮮明

 浜松市中央区の登山ガイド石川貴大さん(34)が、日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊に参加し、ヒマラヤ山脈の登頂に挑んだ。目指したのは誰も頂上に到達したことのない未踏峰「シャルプー6」(標高6076メートル)。登頂成功には至らなかったが、4年間に及ぶ“世界の屋根”への挑戦を振り返った。

自身初のヒマラヤ登山を振り返る石川さん=2023年12月上旬、浜松市中央区
自身初のヒマラヤ登山を振り返る石川さん=2023年12月上旬、浜松市中央区
登山の様子を撮影する石川さん(左)=2023年10月下旬、ネパール(関係者提供)
登山の様子を撮影する石川さん(左)=2023年10月下旬、ネパール(関係者提供)
自身初のヒマラヤ登山を振り返る石川さん=2023年12月上旬、浜松市中央区
登山の様子を撮影する石川さん(左)=2023年10月下旬、ネパール(関係者提供)

 「ずっと目標としてきた。想像していた以上に大きな山だった」
 眼前に広がる荒々しい山肌、一面の銀世界―。自ら現地で撮影した写真や映像を手に、石川さんはかみしめるように語った。
 ネパール東部に位置するシャルプー6は、中国、インドとの国境近い辺境にあり、遠征する登山家はほとんどいない。日本を離れた2カ月間は過酷を極めた。酸素の薄い高所は体の負担が大きく、登り下りを繰り返して少しずつ頂上を目指した。道なき道で安全確保に神経をすり減らした。それでも一歩を踏み出した時の高ぶり、どこまでも続く山々を見た時の感動を鮮明に覚えているという。
 登山隊への参加が決まったのは2019年末。翌年春の遠征が予定されていたものの、新型コロナウイルスの流行により白紙に。一度は逃したチャンスだったが、22年に再度メンバー入りし、実現にこぎ着けた。
 ヒマラヤには事故により米アラスカ州の山で亡くなった山岳カメラマン平賀淳さん=享年(43)=のハンディカメラを持参した。仕事を通じて知り合い、山を舞台に活躍する生きざま、情熱に憧れた。「平賀さんがのぞいた世界を見てみたい」。遺族から譲り受けたカメラを手に、山岳撮影にも挑んだ。
 道中を氷河に阻まれるなどして登頂はかなわなかったが「どれだけ準備してきたかが問われる場所。取り組んできたことに間違いはなかった」と手応えも感じた。今後は平賀さんのように山岳カメラマンとして国内外の山々を駆け回りたいと思っている。「世界中の『これ以上高いところがない場所』がどんな景色なのか、見てみたい」。その先にヒマラヤへの再挑戦も見据えている。
 (浜松総局・仲瀬駿介)

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