「何を撮り 何を撮らないか」 映画「キャメラを持った男たち」 井上実監督 静岡でイベント

 1923年の関東大震災直後の現地を撮影したカメラマン3人とその映像やフィルムに着目したドキュメンタリー映画「キャメラを持った男たち-関東大震災を撮る-」(2023年)の県内初上映を前に、井上実監督が21日、静岡市葵区の登録有形文化財「鈴木邸」でトークを行った。古書店が集まる催し「春の探書会」の一環。

「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」撮影時のエピソードを語る井上実監督=静岡市葵区の登録有形文化財「鈴木邸」
「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」撮影時のエピソードを語る井上実監督=静岡市葵区の登録有形文化財「鈴木邸」

 同作品は映画誌「キネマ旬報」の23年ベスト・テンで文化映画部門1位に選ばれた。トロフィーを持参した井上監督は「公開以降、自分が考えたコンセプト以上のレファレンス(言及)をいただいた。映画の作り手がその映画の一番の理解者ではないことがよく分かった。見た方も含め、関わった全員でこのトロフィーの重みを共有できれば」と話した。
 「キャメラを-」には100年前の都内被災地の、今の様子も対比的に出てくる。「同じ視界で撮影していても、映っているものは全然違う。100年前の映像と現在を結ぶことで映画としての共時性を持てるんじゃないかと考えた」と意図を説明した。
 ドキュメンタリーの作法や撮影現場での思考も語った。「フレームの外には広大なフィールドがあり、撮影はある部分を切り取るという作業。『何を撮るか』を決めることは、『何を撮らないか』を決めることでもある」と明かした。
 (教育文化部・橋爪充)
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 上映は25~29日、静岡市清水区の夢町座で。各日午前11時、午後3時、7時。問い合わせは清水映画祭運営委員会<電054(366)5903>へ。

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