浜松市、放課後児童会委託 地域の需要捉え 整備を【記者コラム 風紋】

 小学生が放課後の時間を過ごす放課後児童会について、浜松市は2024年度から、同一仕様による運営委託化に全面移行した。核家族化、共働き世帯の増加に伴って放課後児童会の需要も高まる中、待機児童を減らし、保護者が子どもを預けられる環境の持続性を担保するのが狙い。現役世代が地域に住み続け、働き続けるためにも、育ち盛りの子どもが安心して過ごせる場の確保は重要だ。
 放課後児童会の場合、待機児童につながる需要は年度や地域、子どもが習い事を始める夏休み前後でばらつきがある。待機児童数だけでみれば、同市は20年度の495人から23年度に190人まで減少した。ただ、利用者数の予測を立てにくい点は依然として課題になっている。
 市は24年度から、民設民営方式の放課後児童会に対する補助金を拡充し、民間活力の導入を促進する。同方式が増えれば、現在は小学校敷地内にあることが多い放課後児童会も、校外で運営して複数校の児童に対応する所も出てくるだろう。学校間の需要のばらつきにも対処できる。
 同市の放課後児童会の運営はこれまで、地域によってNPO法人だったり学校のPTA役員らでつくる有償ボランティアだったりと担当団体の性格もやり方も異なった。専門業者が同一仕様で運営を委託されるようになり、変化に戸惑う施設関係者もいる。
 市内のある放課後児童会は、子どもに多くの手作りの食べ物を提供してきた。運営委託先が専門業者に代わって基本的に個別包装の食品を出すようになり、量は減ったもようだ。支援員は「子どもたちは慣れるまで、おなかがすいてつらいかもしれない」と心配する。一方、放課後児童会の利用料は23年度まで、施設によって異なったが、24年度からは統一され、公平感は高まったといえる。
 市の担当者は「保護者のニーズを把握し、事業者とも話し合い、柔軟に対応したい」と述べている。難しい課題ではあるが、市には時代や地域によって異なる子育て層の希望をくみ取り、子どもが安心して過ごせる環境整備に力を尽くしてほしい。市民の働きやすさや現役世代の住みやすさにつながるはずだ。
 (浜松総局・松浦直希)

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