ウクライナ原料で界面活性剤 天然由来 開発に着手 現地企業での生産視野 アライドカーボンソリューションズ(沼津)

 天然由来の界面活性剤の生産を手がける沼津市のアライドカーボンソリューションズが、ウクライナの産物を使った界面活性剤の開発に着手する。経済復興推進会議で日本とウクライナ両政府などが合意した案件の一つ。石油由来から天然由来の界面活性剤への置き換えが世界的に進む中、量産化できればウクライナの支援につながると期待される。

界面活性剤の研究開発に当たる従業員。ウクライナの産物を原料にした製品開発に着手する=3月下旬、沼津市
界面活性剤の研究開発に当たる従業員。ウクライナの産物を原料にした製品開発に着手する=3月下旬、沼津市
日・ウクライナ経済復興推進会議で協力文書を交わすアライドカーボンソリューションズの山縣洋介社長(右から2人目)ら=2月、東京(同社提供)
日・ウクライナ経済復興推進会議で協力文書を交わすアライドカーボンソリューションズの山縣洋介社長(右から2人目)ら=2月、東京(同社提供)
界面活性剤の研究開発に当たる従業員。ウクライナの産物を原料にした製品開発に着手する=3月下旬、沼津市
日・ウクライナ経済復興推進会議で協力文書を交わすアライドカーボンソリューションズの山縣洋介社長(右から2人目)ら=2月、東京(同社提供)

 植物油と糖を使い天然酵母の発酵で製造する同社の界面活性剤「ソホロリピッド」は、国内外で洗剤や化粧品、飼料などの原料になっている。この製造技術を応用し、ウクライナの国花ヒマワリの種子から抽出した油、菜種油、トウモロコシの糖から新たな界面活性剤を作る。まずは日本国内で開発し、将来的にはウクライナの企業に生産を委託し、同国内や周辺国に供給する計画だ。
 農業大国ウクライナの主要産物のヒマワリ油を使うことで農業振興や雇用の創出につなげる。担当者は「ウクライナ国民の気持ちに寄り添い、復興のお役に立ちたい」と強調。現地の農業法人など2社と2月、原料調達などに関する覚書を交わした。発酵の条件を変える必要はあるが、「現在の技術で製品化できる」と担当者は自信を示す。
 同社によると、界面活性剤は石油由来か、熱帯雨林破壊の要因とされるパーム油由来が9割以上を占める。脱炭素や森林保護の潮流から欧州を中心に環境に優しい製品を求める声が高まっている。同社は今回の取り組みで日本が得意な酵母による製品が注目されると望んでいる。担当者は「市場拡大のきっかけになれば。両方にメリットがある形が理想」と展望を語る。
 (東部総局・矢嶋宏行)
「継続支援」期待か 国が事業選定  日本とウクライナ両政府などが2月に開いた経済復興推進会議では、アライドカーボンソリューションズをはじめ両国の企業などが7分野56の協力文書を交わした。同社は関係者から打診を受けて参加を決めた。
 がれき処理やインフラ整備といった一時的な内容も多い中、同社は「継続的な支援になるから選ばれたのではないか。国の事業に関わることができてうれしい」と受け止める。生み出した界面活性剤を原料とした新製品がウクライナで誕生すれば、経済循環が加速すると期待している。

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