大自在(4月27日)ライドシェア

 初めての経験に緊張した。1月に出張した米国・サンフランシスコでのこと。空港に降り立って目的地への移動に「ライドシェア」の活用を求められた。日本でスマホにダウンロードしておいたアプリを使って配車を依頼すると、出迎える車のナンバーや車種、到着までの所要時間が画面上に表示された。
 運賃決済も入力済みだったクレジットカード。片言の英語しか話せなくても、行き先の入力さえ間違わなければ安心して移動できた。空港にもライドシェアサービス用の乗降場所が確保され、普及している印象を受けた。
 ライドシェアは一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を送迎するサービス。国内でも4月「日本版ライドシェア」が始まった。
 一般ドライバーによる有料の乗客送迎サービスは道路運送車両法に違反する「白タク営業」に当たる。国の許可を得たタクシー会社が実施主体となり、タクシーが足りない地域で時間帯を限定してサービスを提供するゆえに「日本版」と言われる。
 コロナ下で減ったタクシー運転手は依然不足している。感染症法上の5類移行後で需要の戻った観光地では配車が難しくなっているという。過疎地や公共交通空白地では以前から例外的に始まり、浜松市西部の庄内地区で地域住民が他の住民を有料で送迎している。
 高齢化や過疎化、運転手の残業規制問題に加え、都市部ではタクシー自体の不足など課題は多い。運転手への教育など安全性確保は言うまでもなく、地域の実情や乗客の利便性向上を目指した公共交通体系を考えたい。

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