ライドシェア、来年4月部分解禁 政府、タクシー不足に対応

 政府は20日、タクシー会社の管理下で自家用車を使い一般ドライバーが有料で客を送迎する「日本版」ライドシェアの来年4月からの部分解禁を決めた。観光地や都市部も含め、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限って認める。タクシー会社以外も可能とする全面解禁は議論を続け、来年6月までに方針を決める。デジタル行財政改革の中間取りまとめとして、無駄が指摘される国の基金見直しや、教育・介護分野のデジタル化と併せて示した。

デジタル行財政改革会議であいさつする岸田首相(中央)=20日午後、首相官邸
デジタル行財政改革会議であいさつする岸田首相(中央)=20日午後、首相官邸

 タクシー不足の地域や時間帯などは、配車アプリや無線配車のデータを活用して特定する。利用者は配車アプリを通じて依頼する。
 安全性担保のためタクシー会社が車両整備や運送の責任を負う。参入は国土交通省の許可制にする。ドライバーとは雇用契約だけでなく、自由度の高い契約形態も検討。年度内に詳細を詰める。
 一方でタクシー運転手確保策として2024年度以降の早期に2種免許の教習期間を大幅短縮する。試験を20言語に多言語化し、外国人材の活用も進める。交通分野ではこのほか、自動運転の事業認可手続きの円滑化に向け、国や自治体が参加する組織を24年から各都道府県に順次設置する。
 国の基金は、予算計上の期限を3年程度とする見直し方針も示した。年度ごとの必要額が予測可能なものは通常の予算とすることや、定期的な成果目標の策定・公表、終了期限の具体的な設定といった内容も盛り込んだ。岸田文雄首相は20日のデジタル行財政改革会議で「年度内をめどに基金全体の点検を行う」と述べた。
 教育や介護の分野は、数値目標を定めてデジタル化を図る。職員の負担軽減に向け、教育では25年度までにファクスでの連絡を原則廃止し、生成人工知能(AI)を事務に活用する学校を50%に増やす。介護はロボットや情報通信技術(ICT)機器の導入事業者を現在の29%から29年度に90%とする。

 デジタル行財政改革会議 デジタル技術を活用した国と地方の行政効率化や住民サービス向上を目指し、政府が10月に設置した会議。規制緩和策を話し合う「規制改革推進会議」、予算執行を検証する「行政改革推進会議」、デジタルによる地域活性化を目指す「デジタル田園都市国家構想実現会議」といった既存の会議を束ねる「司令塔」と位置付ける。交通や教育、介護など各分野の改革の方向性に加え、予算事業の適正化、自治体の業務システム共通化も議論する。

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