歴史的円安、物価高…家計負担ずっしり 静岡県内、規格外品・箱買いに需要 生活防衛に売り手も呼応

 26日の東京外国為替市場の円相場が約34年ぶりに一時1ドル=156円まで下落し、円安や原材料・エネルギー高に起因する物価高で消費者の家計負担が増す中、ディスカウントストアや業務用食品販売店の需要が高まっている。4月には約2800品目の食品が値上げされ、実質賃金も23カ月連続でマイナスとなった。各店はメーカーの規格外品を割安で提供するなど価格を抑制し、高まる生活防衛意識に対応している。

通常価格から大幅に割り引かれた家具が並ぶ売り場=4月中旬、磐田市
通常価格から大幅に割り引かれた家具が並ぶ売り場=4月中旬、磐田市

 アウトレット家具販売のBゾーンハヤカワ(磐田市)は、メーカーの余剰在庫品や新作見本市で展示されていた品、わずかな傷で規格外となった品を、通常価格の5~7割引きで販売する。ソファやベッドなど1500点以上が並ぶ。
 新型コロナウイルス下で自宅の家具を新調する動きが活発化し、2021~22年は売上高がコロナ前の19年比約5割増となった。コロナ5類移行後は19年並みに戻ったが、昨秋から再び伸長し、各月の実績は前年比2割増で推移している。
 運営する家具の早川(同市)は、販売拡大や静岡市など県中部への配送効率化に向け、同市や藤枝市への新規出店も検討する。早川悟史社長は「新たな仕入れ先を開拓し、コストパフォーマンスに優れた品を提供し続ける」と話す。
 食品・菓子卸売りのYCC静岡店(静岡市葵区)は、箱売りの駄菓子や飲料など常時4千種類を通常価格の1~2割引きで提供するほか、賞味期限間近の品も扱う。
 近年の円安や相次ぐ食品値上げに伴って家族連れの客が増え、売り上げは毎年約1割ずつ伸長。昨年は店舗の通りに面した外壁に看板を新設するなど一般客への販促に注力する。小学生の子供を持つ同区の女性パート(29)は「家計の支出増を感じているので、お菓子を一度に安く大量に買えて助かる。子供の友人に配るのに重宝する」と話す。
 調達方法を工夫して販売価格を据え置く企業もある。野菜の価格が上昇する中、宅配食のヨシケイ開発(同市駿河区)は、グループ各社が地場の生産者と年間契約することで仕入れ値と商材の価格上昇を抑える。担当者は「野菜の買い控えは栄養面に影響する。自社の努力で顧客の健康増進に寄与したい」と語る。
 (経済部・駒木千尋)
 実質賃金マイナス続く
 厚生労働省が公表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を加味した1人当たりの実質賃金は前年同月比1.3%減だった。マイナスは23カ月連続で、リーマン・ショック前後の2007年9月~09年7月に並ぶ最長タイ。
 名目賃金に当たる現金給与総額は1.8%増の28万2265円と、26カ月連続のプラスだったが、実質賃金の算出に用いる消費者物価指数が3.3%上昇したため、差し引きで実質賃金は前年同月を下回った。

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