浜松まつり 盛り上げの華 鳴り物熱く 音域自在に作曲も 「ラッパの神様」本間さん

 浜松市で5月3~5日に開催される浜松まつりで、「ラッパの神様」と呼ばれる名人がいる。中央区十軒町の会社員本間寛人さん(43)。同町に生まれ、まつり歴約35年の本間さんは、凧(たこ)揚げを盛り上げようと練習を怠らず、本番への準備は万全だ。

作曲した「サンバ」を演奏する本間寛人さん=4月下旬、浜松市中央区十軒町
作曲した「サンバ」を演奏する本間寛人さん=4月下旬、浜松市中央区十軒町

 祭りを一段と盛り上げるのが信号ラッパ。使う音は4音で、指でなく息で音を変化させるため、吹き分けが難しい。本間さんは息のスピードで音の高さを変え、1オクターブ半ほどの上の音域まで自由に出すことができる。長年、祭りのラッパを研究し、早出町でまつりに参加する静岡文化芸術大の奥中康人教授(55)は、夜の練習時に隣町の十軒町の音が聞こえ、感化されているといい、「普通の人ではあり得ないレベルで超絶技巧だ」と語る。本番では町内外から多くの市民が本間さんの演奏を一目見ようと集まる。同町凧揚げ会の小池素通会長(70)は「他に負けない『神様』の演奏をいつも聞かせてもらってうれしい」とほほ笑む。
 ラッパとの出合いは小学1年生の時。五つ上の姉の背中を追い、同町の子どもラッパ隊の一員としてまつりに参加した。「当時の楽しくワイワイやっていた頃の記憶が今でも残っている」と本間さん。中学で吹奏楽部に所属し、ラッパと同じ口の使い方をすることを理由にトランペットを選んだ。音楽系の高校、音大に進学し、現在は浜松市のマーチングバンドに所属。会社員として働く傍ら、365日休むことなく、天竜川の河川敷などでトランペットの技術を磨く。
 町内のラッパ隊長として子どもたちの指導に力を入れる。「昔は自分が楽しければ良かった。今は子どもや町のみんなを楽しませる演奏をしたい」と心境の変化を語る。
 高校生からアレンジに目覚め、得意曲は15年ほど前にまつりの盛り上げに一役買おうと自ら作曲した「サンバ」。今では他町でも演奏されるほど浸透した。
 「凧揚げがメインだが、鳴り物あってこその浜松まつり」と熱い思いを語る本間さん。「ラッパを見て子どもたちが祭りに共感し、今後の祭りの発展につながってほしい」と意気込む。
 (浜松総局・小林千菜美)

 

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