藤枝市長選と市議補選迫る 自覚したい1票の重み【記者コラム 黒潮】

 任期満了に伴う藤枝市長選(19日告示、26日投開票)と市議の死去による欠員1の市議補選(同)の告示まで3週間を切ったが、盛り上がりに欠けている。市長選で出馬表明しているのは5選を目指す現職の北村正平氏(77)のみで、4期連続無投票の可能性も高い。一方で、市議補選は新人2人による選挙戦の公算が大きい。市議選の投票率が過去最低だった2022年4月の44・15%を下回る事態は避けたい。市民はどのように受け止めているのだろうか。
 市内で実施された直近10年の選挙の投票率は、17年10月の衆院選の58・40%が最高。一方、最も低かったのは19年4月の県議選で43・95%、次いで22年4月の市議選だった。市長選が12年から3回連続で無投票であることに加え、10~22年に行われた4回の市議選はいずれも過去最低の投票率を更新。この間に行うはずだった市議補選も2回あったが、無風で終わった。
 今回は知事選の投開票日と重なる。市長選と市議補選の立候補者の陣営関係者らは「相乗効果で前回の市議選よりも(投票率が)上がってほしい」と話す。
 北村氏が4期16年で実績を残したのは事実だ。財政の健全化に取り組み、24年度当初の臨時財政対策債を除く全会計市債残高は474億8千万円。市長に就任した08年度から397億3千万円減る見通しとなった。
 しかし、明確な課題もある。3月31日時点の総人口は14万365人。現市政が始まった08年5月末は13万2466人で一時期は14万6700人台まで増えたが、現在は減少に転じている。09年に開館した駅南の商業複合施設「BiVi藤枝」も人を呼び込む機能が乏しく、テナントも定着していない。市民からは「活気がない」と声が上がる。
 投票率の低迷は一市民として悲しい。有権者は藤枝の未来を託すために選択する権利を持つと同時に、1票を任せられている責任もある。立候補者の看板が設置されたり、公約などが書かれたリーフレットが地域で配られていたりと、選挙や候補者を知る機会があることを知ってもらいたい。選挙戦の有無にかかわらず、いま一度選挙の意義を考えてほしい。
 (藤枝支局・青木功太)

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