浜松から広がれ!ベトナム産カカオ IT企業代表、窮状知り後押し チョコやワイン、ハンドクリームなど販売

 浜松市などに拠点を置き、ベトナムで農薬や化学肥料を使わない有機カカオの生産加工販売を手がける「OCA(オカ)」グループが、ベトナム産カカオの認知度向上や販路開拓を本格化させている。異常気象による不作や離農による生産減が世界的に課題となる中、生産と販売両面で、持続可能性に配慮した現地のカカオ産業育成を後押しする。

来日したバリアブンタウ省関係者に、新ブランド「シー・プラス」の商品を紹介する野沢浩樹代表(右から3人目)=3月下旬、浜松市中央区
来日したバリアブンタウ省関係者に、新ブランド「シー・プラス」の商品を紹介する野沢浩樹代表(右から3人目)=3月下旬、浜松市中央区
OCA社が手がけるベトナムのカカオ農園=バリアブンタウ省チャウドゥク県
OCA社が手がけるベトナムのカカオ農園=バリアブンタウ省チャウドゥク県
新ブランド「シー・プラス」で販売を始めた菓子類=3月27日、浜松市中央区
新ブランド「シー・プラス」で販売を始めた菓子類=3月27日、浜松市中央区
来日したバリアブンタウ省関係者に、新ブランド「シー・プラス」の商品を紹介する野沢浩樹代表(右から3人目)=3月下旬、浜松市中央区
OCA社が手がけるベトナムのカカオ農園=バリアブンタウ省チャウドゥク県
新ブランド「シー・プラス」で販売を始めた菓子類=3月27日、浜松市中央区

 オカ社は、IT企業シーポイント(浜松市中央区)の野沢浩樹代表(61)が設立した。進出先のベトナムで、農家が品質の高いカカオを栽培する一方、低価格での取引のため生産者が減るなどし、面積が激減する危機的状況を知った。
 同国産地の南部バリアブンタウ省に掛け合い、農地整備や生産、加工品製造、人材育成を含めたカカオ産業の再構築を提案。契約農家と取り組むカカオ園は、3年前の事業参入時から計230ヘクタールを新規に拡大した。
 ベトナム産は、香りの高さや独特の酸味が特徴。栽培したカカオを全量買い取り、チョコレートなどの加工品に仕上げる。オカ社の農園と工場は有機JASをはじめオーガニックの国際認証を取得し、欧州や日本などに輸出している。
 「カカオ=(イコール)チョコレートというイメージを変え、事業の可能性を広げる」(野沢代表)ため、カカオの果汁を自然熟成させた無添加ワイン、豆の外皮から作ったお茶、保湿成分を含むハンドクリームの製品化など、果実全ての素材を廃棄せずに使い切る試みにも注力している。
 数年前から商品開発で連携する「ドリアン洋菓子店」(浜松市)と組んで今春立ち上げたカカオを使った菓子類の新ブランド「C+(シー・プラス)」は、こうしたベトナム産カカオを身近に感じてもらうのが狙い。第1弾として、添加物や小麦粉を使わないプリン、焼き菓子など10種類の販売をオンライン店で始めた。今月の遠鉄百貨店催事でも提供する予定。菓子以外の展開も計画する。
 野沢代表は「本来の価値に応じた適正取引が広がれば、農家が安定した収入を確保できる。加工工場集積や観光を含めた関連産業に波及させ、地域活性化を実現したい」と力を込める。
 (浜松総局・山本雅子)
生産性向上も支援
 カカオ豆はコートジボワールとガーナで世界生産量の6割以上を占めるとされ、ベトナム産はまだ遠く及ばない。オカ社は拠点を置くバリアブンタウ省チャウドゥク県でのカカオ生産量拡大へ、センサーを使ったデータ分析や自動収穫装置の導入を進めて生産性や収益性向上を支援している。静岡大農学部の大学院生も研究調査で協力する。
 3月下旬、農産物や商観光PRのため来日した同県市長に当たるグエン・タン・バンさんは「土壌や気候はカカオの育成に適し、高い潜在性を持っている。オーガニック国際認証を持つ農園で育てたカカオの取り組みを売りに、海外に輸出を広げたい」と語った。

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