甘~いトマト ロボット企業が生産 アイエイアイ(静岡)が長年試行錯誤、糖度10度以上を安定生産

 静岡市清水区の産業用ロボットメーカーアイエイアイが2010年から取り組む高糖度トマトの研究が実を結び、念願だった数年後の市販にめどが立った。ロボット関連企業らしく環境を温室の中で完全コントロールしながら試行錯誤を繰り返し、糖度10度以上ある250グラムのトマトを安定生産できるようになった。

真っ赤に実った高糖度トマトを見詰めるアイエイアイエコファーム部の赤地拓澄さん=4月上旬、富士宮市内房の同社富士宮工場
真っ赤に実った高糖度トマトを見詰めるアイエイアイエコファーム部の赤地拓澄さん=4月上旬、富士宮市内房の同社富士宮工場
糖度計で11度以上を指す高糖度トマトの搾り汁=4月下旬、富士宮市内房のアイエイアイ富士宮工場
糖度計で11度以上を指す高糖度トマトの搾り汁=4月下旬、富士宮市内房のアイエイアイ富士宮工場
真っ赤に実った高糖度トマトを見詰めるアイエイアイエコファーム部の赤地拓澄さん=4月上旬、富士宮市内房の同社富士宮工場
糖度計で11度以上を指す高糖度トマトの搾り汁=4月下旬、富士宮市内房のアイエイアイ富士宮工場

 「長い道のりでした」。4月上旬、真っ赤に実ったトマトを見詰め、アイエイアイエコファーム部の赤地拓澄さん(43)は感慨深げに話した。糖度10度はスイカ程度。同じ糖度のトマトは他にもあるが、せいぜい100グラム。赤地さんは「このサイズで甘いトマトは全国でもレア」と胸を張る。
 栽培しているのは一般的な品種「桃太郎ヨーク」。甘くするには、根が張る範囲を狭くし、与える水の量を制限するなどストレスを多くかけ小ぶりに育てる。同社では水耕栽培試験で得られたデータを活用し、今春収穫分から肥料を与えるタイミングや量、成分割合を微妙に変えた。甘くて大きいトマトを作るためのプログラムを完成させた。
 栽培技術の中核を担うのは、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発した独自の液肥製造技術。液肥は水産加工業で発生した魚の残さから抽出したエキスを微生物により分解して製造。化学液肥に比べ植物を約10%大きく成長させることに成功。液肥の微生物が根にすみ着き「バイオフィルム」を形成し病気を防ぐ。気化熱を活用し、温室内の気温を下げるシステムを構築し、葉で作られた糖分を果実に多く流す。
 現在の栽培面積は800平方メートル。周辺の同社の畑で生産している米などとともに社内販売にとどまるが、同社の石田徹社長は「(トマトは)2年後にはビジネスとして大量生産・販売を開始したい」と話した。
 (清水支局・坂本昌信)

 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞