記者コラム「清流」 海洋保護盛り上げて

 「海洋文化施設であって水族館ではない」。清水港で建設を進める静岡市の担当者からよく真顔で言われたせりふだ。「単なる展示施設ではなく、海洋保護の啓発や教育を行う」というプライドに他ならない。
 薄日が差し始めたサクラエビの不漁問題を抱える駿河湾が研究フィールドとなる。期待しているし、計画の遅れは残念だ。気にかかるのは地元住民が遅れの理由が分からず不審がっていること。当初からの高い志に対し「学術とビジネスの相克」と言われても、「なぜ今更そうなる?」と思う人も多いのが実際だ。
 1年程度は完成が遅れるハコは別とし、海洋保護のためのさまざまな取り組みを市は先行して進めることができる。水族館ができた時には海洋保護がすでに市民的関心事になっているよう盛り上げてほしい。
(清水支局・坂本昌信)

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