川勝氏と岩井氏、リニア、コロナ...将来像議論 静岡新聞社で政策対談

 知事選(6月3日告示、20日投開票)に立候補を表明している現職の川勝平太氏(72)と新人の元参院議員岩井茂樹氏(52)=自民推薦=が26日夜、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で政策対談を行った。リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少問題や新型コロナウイルス対策、県の将来展望など県政の主要課題について熱のこもった議論を繰り広げた。

知事選告示を前に対談し肘タッチする川勝平太氏(左)と岩井茂樹氏=26日夜、静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館
知事選告示を前に対談し肘タッチする川勝平太氏(左)と岩井茂樹氏=26日夜、静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館

 県の将来像を巡っては両氏の特色が出た。川勝氏はトヨタ自動車が裾野市で進める先進技術の実証都市「ウーブン・シティ」に絡み、「県東部地域を健康で最新技術があふれる地域にする」との構想を示した。隣接する長泉町で先進的な医療城下町づくりが進んでいるとして「互いに実験的な都市づくりで親和性がある。ウーブン・シティという大輪の花が咲くよう額縁を整えたい」と語り、魅力ある地域の創生に意欲を示した。
 一方の岩井氏は将来の県に最も必要なこととして人口減少の克服を上げ、「稼ぐ力がなくてはならない。トップセールスで魅力ある企業にきてもらうことに全力を傾けたい」と自ら企業誘致の先頭に立つ考えを明らかにした。また、女性活躍の必要性も強調し、「女性の能力を生かしたい。女性が当たり前に活躍できるまちになれば少子化克服や若者の人口流出減にもつながる」と訴えた。
 リニア問題では、両氏ともJR東海に対する厳しい姿勢を強調。川勝氏は問題の根源は、JR東海の不十分な調査だと指摘。流量減少以外にも水質や生態系など問題は山積しているとして「リニア自体に反対ではないが、突然、静岡がルートになった。一回立ち止まった方がいい」と訴えた。岩井氏も「JRは説明不足」と現状のままリニア工事を推進することに否定的な見解を示した。決定権は事業者にあるとしながらルート変更や事業中止が選択肢に入るのは当然だとし「(推薦を受けた)自民党がどう考えるかではなく、知事は県民のために何をするかが問われる」と語った。コロナ対策では岩井氏がワクチン接種会場にもなり得る医療従事者の育成センターの創設を提案したのに対し、川勝氏は検査体制を充実させるため、県内に感染症病院を新たに建設する構想を示した。
 (政治部・市川雄一)

 ■2氏の略歴
 川勝平太氏(かわかつ・へいた) 京都府出身。静岡市葵区在住。早大政経学部卒、英オックスフォード大大学院博士号取得。早大教授や国際日本文化研究センター教授、静岡文化芸術大学長などを歴任した。2009年知事選で初当選。13年に再選、17年に3選を果たした。県観光協会と県スポーツ協会の会長を務める。72歳。

 岩井茂樹氏(いわい・しげき) 名古屋市出身。三島市在住。名古屋大大学院修了。前田建設工業に8年間勤務した後、参院議員だった父国臣氏の秘書に。富士常葉大非常勤講師を経て2010年7月に参院議員(静岡選挙区)初当選。経済産業政務官、国土交通副大臣を歴任。今月、2期目途中で参院議員を辞職した。52歳。

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