「海龍」保存状態良い 下田沖海底に眠る特攻潜水艇 発見の地元海洋調査会社が会見

 下田沖で3例目となる旧日本海軍の特攻潜水艇「海龍(かいりゅう)」とみられる船体を発見した海洋調査会社「ウインディーネットワーク」(下田市、杉本憲一社長)は13日、同市内で記者会見した。杉本社長は、同社が2015年に下田沖で発見した船体と比べて「保存状態は良さそう」とし、さらに調査を進め、3次元画像を製作する計画を明らかにした。

司令塔部が残る特攻潜水艇「海龍」とみられる船体(ウインディーネットワーク提供)
司令塔部が残る特攻潜水艇「海龍」とみられる船体(ウインディーネットワーク提供)

 同社によると、発見された恵比寿島の南西約800メートル、水深約35メートルの海底は潮の流れが速く、付着物が比較的少なかった。全長約17メートルの船体は、砂に埋まった部分がほとんどなかった。船尾部のスクリューは欠けているとみられ、主翼や尾翼もなかった。司令塔(艦橋)部分は15年に発見した船体より、原形を残しているという。引き上げの計画は現時点ではない。
 資料や関係者の話から、下田沖にはこれらの他にも戦後、海中に投棄された海龍があるとみられる。杉本社長は「戦後76年たつが、海の中は時が止まったまま。実物が訴える戦争の歴史を伝えたい」とし、今後も下田沖での調査を続けたいとの意欲を示した。
 (下田支局・尾藤旭)

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