熱海・伊豆山 被災地で野菜移動販売 青果卸売・岩本さん
大規模土石流による被害を受けた熱海市伊豆山の岸谷(きだに)地区で8日、同市桃山町で青果卸売を営む岩本英利さん(62)が野菜や果物の移動販売を始めた。毎週1回行う予定。周辺住民が集まり買い物を楽しんだ。
同地区は避難所から帰宅した住民が多く、メインの生活道路で路線バスの運行が再開した。しかし、一般車両の通行はいまだできないため、住民は買い物に苦労していた。
これまでも週に1回、コンビニチェーンが車で販売に訪れていたが、「八百屋さんにも来てほしい」との要望が強かった。そんな声に岩本さんは快く応じた。「(伊豆山に住む)姉も被災し沼津に避難している。助けられることがあるならやりたい」との思いがあったという。
移動販売では野菜をはじめブドウや卵など食料品約30品を用意。集まった住民は商品を手に取り、世間話を楽しんだ。ネギやサヤインゲンを購入した真野宣子さん(70)は「周辺には店がない。野菜を買えるのはありがたい」と喜んだ。