記者コラム「清流」 最後のレースも

 陸上短距離で活躍した静岡市出身の高瀬慧さん(32)が、9月に競技を引退した。同学年で自分も小中高と陸上競技に励んだ。昨年、湖西市での取材で会う機会があり、昔話に花が咲いた。
 中学時代の高瀬さんは背が小さく、細かった。周りと比べ記録は伸びていなかったが、ひた向きに競技と向き合う姿を覚えている。当時を高瀬さんはこう振り返った。「目標のオリンピックに向け、小学生の頃から逆算して考えていた」。ライバルに対し一喜一憂せず、自分を信じ、一つずつ成長を重ねてきたという。
 その後、ロンドン、リオ五輪に連続出場を果たし、日本一にも輝いた。現役最後のレースは全盛期からは遠い記録だったが、ひた向きな姿は、あの頃のままだった。
 (湖西支局・大沼雄大)

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