長泉町議会に女性議員復活 政治参加の機運醸成を【湧水】

 9月の長泉町議選で16年ぶりに女性町議2人が誕生した。男性中心の町議会に新しい風を吹かせてほしい。「子育ての町」とも呼ばれる長泉町だけに、子育て現役世代の女性が政治に参加しやすい環境を整備し、さまざまな町民の思いを町政に反映できる機会につながるよう期待したい。
 2人が出馬を決めたのは、5月に開催した女性議会への参加がきっかけ。町議会が議会の女性不在に危機感を抱き、10年ぶりに企画した。公募で集まった町内在住女性9人が模擬の一般質問に臨み、町幹部が答えることで、町の状況や予算の使い方などを実感し、町政への理解を深める場になったという。
 今回選では、子育て世代の女性による自主的な動きもみられた。女性らが若年層の投票率を上げるきっかけづくりにと「長泉を考えるママの会」をつくり、投票前に候補者へのアンケートを作成。各候補者が積極的に取り組みたい政策を一覧にし、ウェブで公開した。同会の平川あかねさんは「子どもとの会話に選挙の話題が出るようになり、町議が身近に感じられるようになった」とメンバーの意識の変化を語る。
 今回の町議選の投票率は49・4%。中でも10~40代は20~40%台で、若年層の関心は低い。町職員は「今回選で町民の女性町議への期待感を実感した。女性が加わることで新たな視点が生まれ、現役世代のための政策もより充実するのでは」と期待する。
 ただ、10月の定例会では女性町議の力が十分に発揮されたとはいえなかった。初議会を終えた2人は「慣れるのに精いっぱいで大変。気を引き締めて勉強しなければ」「今後は町内の母親の声に耳を傾け、子育てのことなどを共に進めたい」と意気込む。
 女性や子育て世代の台頭を一過性のブームで終わらせるべきではない。議会で女性が萎縮せずに発言できる雰囲気をつくるためには、女性町議を増やすことも課題だろう。町は今後も女性議会を継続し、有権者側も町民の政治への関心を高める自主的な取り組みを増やしてほしい。女性や子育て世代が町政に声を上げやすくなる仕掛けづくりも必要になる。

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