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日本の陸上界を支える!? 「すその頂飯」とは

 スポーツ合宿の誘致などに取り組む裾野市スポーツツーリズム推進協議会が「すその頂飯(いただきめし)」の第2弾として、陸上長距離の男子大学生選手に適した食事メニューを開発しました。裾野市では毎年、実業団や大学、高校の陸上部など数多くのチームが合宿を行っています。選手たちが厳しい練習を乗り切り、また、充分な栄養を取るために大きな役割を果たしているのが、この「すその頂飯」です。2020年から始まったプロジェクトのこれまでをまとめます。

陸上練習乗り切る、がっつり男子用 第2弾新メニュー完成

 スポーツ合宿の誘致などに取り組む裾野市スポーツツーリズム推進協議会は、陸上長距離の男子大学生選手に適した食事メニュー「すその頂飯(いただきめし)」を開発した。1日3食の1週間分で計21種類。厳しい練習を乗り切るため、「飽きずにおいしく食べることができる」という。市内の宿泊施設や飲食店などで提供する。

男子陸上選手向けに開発した「アサリ入りミートソースパスタ」など=裾野市
男子陸上選手向けに開発した「アサリ入りミートソースパスタ」など=裾野市
 陸上の女子選手向けに続く第2弾。男子選手用に量とエネルギー、栄養素を増やし、体重を調整しながら陸上競技に大切なカルシウムや鉄分、筋肉をつくるタンパク質をしっかり摂取できるように工夫した。
 3食とも野菜をふんだんに取り入れ、イチゴやキヌア、とろろといった地元産食材も使用した。昼食は「アサリ入りミートソースパスタ」など練習の合間にも食べやすい献立、1日の練習が終わった夕食は白飯が進む和洋中のおかずをそろえた。
 三島市の日本大短期大学部食物栄養学科を中心に開発し、このほど裾野市内でお披露目会を開いた。
(東部総局・杉山諭)
〈2024.03.21 あなたの静岡新聞〉

献立開発、日大短期大学部学生ら参加

 裾野市のスポーツや観光、経済団体でつくる市スポーツツーリズム推進協議会は20日、陸上の男子大学生選手に向けた食事メニューの開発を始めた。日本大短期大学部食物栄養学科(三島市)と来年1月までに1週間3食分、計21種類の献立を作り、合宿の受け入れ先となる宿泊施設や飲食店が提供する。

「すその頂飯」の新しいメニューを考える関係者=三島市の日本大短期大学部
「すその頂飯」の新しいメニューを考える関係者=三島市の日本大短期大学部
 地元食材を使い、2020年度に考案した「すその頂飯(いただきめし)」の第2弾。前回は実業団の女子陸上選手に適したメニューだった。近年は男子大学生チームの合宿が増えているため、ふさわしい量と栄養素の食事を考えて選手の滋養強壮と疲労回復につなげる。
 開発には同短期大学部の学生6人も参加する。三島市のキャンパスで初会合を開き、実業団チームの管理栄養士を務める蒲生佳奈さんが「エネルギー源の糖質や貧血対策の鉄分の摂取を考えてほしい。男子選手は女子選手に比べて体脂肪率が低く、その分必要なエネルギー量、ご飯量が多い」などと助言した。
 6人は篠原啓子准教授らの指導で朝食、昼食、夕食の主食、主菜、副菜、汁物を考えた。大学生は実業団ほど活動資金が潤沢ではないため、食費にも配慮しながら工夫を凝らしたメニューを提案する。
 裾野市は標高1千メートル以上の「準高地トレーニング」の環境を生かし、陸上を中心としたスポーツ合宿の誘致を強化している。
(東部総局・杉山諭)
〈2023.09.21 あなたの静岡新聞〉

準高地合宿誘致に力 プロジェクトは2020年に開始

“裾野飯”で頂目指せ 官民連携 誘致加速へ開発着手 準高地合宿 献立に地場産品 ※2020年10月21日 静岡新聞朝刊

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アスリート向けの食事メニューについてアイデアを出す関係者=三島市の日本大短期大学部(裾野市提供)

 官民一体で準高地トレーニング合宿の誘致に力を入れている裾野市スポーツツーリズム推進協議会は、市内宿泊施設や大学などと連携し、合宿で訪れるアスリート向けに、地場産品を活用した食事メニューの開発に乗り出した。地場産品の消費拡大につなげ、市内での合宿の魅力として打ち出す。
 「すその頂飯プロジェクト」と銘打ち、日本大短期大学部や宿泊施設、飲食店などが参画した。同市では合宿の受け入れ件数が増加していて、2019年度には実業団や大学、高校の陸上部など27チームを誘致した。受け入れをさらに加速していくために、厳しい練習の合間の楽しみにしてもらえるメニューの提供を誘致の強みにしていく。
 栄養バランスが取れているだけでなく、長期間滞在しても飽きないよう、7日間計21食分の献立を考える。特により繊細な栄養摂取が求められる女子の長距離選手をイメージし、来年1月の完成を目指す。
 10日には、関係者19人が三島市の日大短期大学部に集まり、メニューのアイデアを出し合うワークショップを開いた。食材に特産のソバ、モロヘイヤ、ヤマトイモなどを使うことや、疲れていても食欲を刺激するような香り付けをするアイデアなどが提案された。
 実際にメニューを提供する宿泊施設は今後、スポーツ栄養学の研修も受ける。事務局の市産業振興課は「地元らしさを出したメニューで、アスリートの満足度向上につなげたい」としている。
(八木敬介)

「すその頂飯」披露 合宿誘致へ アスリート向け食事 ※2021年3月3日 静岡新聞朝刊
 
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アスリート向けに開発された「すその頂飯」の一つ。地場産品を使い、多彩なメニューが考案された=裾野市生涯学習センター

裾野市スポーツツーリズム推進協議会は1日、合宿で訪れるアスリート向けに地場産品を使って開発した食事メニュー「すその頂飯」を市生涯学習センターでお披露目した。裾野での合宿ならではの魅力として、誘致に活用していく。
 同協議会は官民一体で準高地トレーニング合宿の誘致活動を進めている。昨年10月、選手が体調管理をしながら厳しい練習の合間に楽しんで味わえるメニューを開発するプロジェクトを開始した。日本大短期大学部食物栄養学科の篠原啓子准教授と学生、地元の宿泊・飲食店11店舗が参画。須山地区で試験栽培しているスーパーフード「キヌア」入りの豆腐サラダや、市内特産のモロヘイヤを使ったパスタなど、32種類の献立を考案した。
 お披露目ではメニューのレシピを紹介し、高村謙二市長と同協議会の鈴木啓久会長が、キヌアやレバーを使ったハンバーグなどを試食した。高村市長は「楽しく食べて、強くなれるメニューだと実感した」と話した。
 今後、合宿を受け入れている宿泊施設や飲食店でメニューを提供する。頂飯をまとめたパンフレットも全国の陸上チームや競技団体に送る。参画したペンション「ヴィラ・ハミングバード」の饗庭友子シェフは「裾野でしか食べられないことが売りになる。地域で力を合わせ、活性化につなげたい」と強調した。
(八木敬介)
 

食文化ツーリズム賞受賞 「アスリート向けの献立、面白い」と評価

 スポーツ庁、文化庁、観光庁がスポーツや文化体験を通じた観光振興の取り組みを評価する「スポーツ文化ツーリズムアワード2021」で、裾野市スポーツツーリズム推進協議会の「すその頂飯(いただきめし)プロジェクト」がこのほど、特別賞の食文化ツーリズム賞に選ばれた。

 
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食文化ツーリズム賞に選ばれた「すその頂飯プロジェクト」をPRするパンフレット=裾野市役所

 同プロジェクトは20年10月から、日本大短期大学部食品栄養学科や市内宿泊施設などと連携し、地場産品を活用したアスリート向けの献立の開発に取り組んでいる。ソバやモロヘイヤ、キヌアなどを使った約30種類のレシピを生み出し、市内でのスポーツ合宿の魅力として売り込んでいる。
 同アワードの審査では「食文化というと伝統や地産地消というイメージがあるが、アスリート向けの献立というところが面白い」などと評価された。
 協議会事務局の市産業振興課は「受賞は今後の合宿誘致などスポーツツーリズム事業の弾みになる。これからも裾野ならではの魅力を発信したい」としている。表彰式は30日に都内で開かれる。
(八木敬介)
※2021年11月3日 静岡新聞朝刊
 
地域再生大賞