知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

4月19日公開「陰陽師0」も撮影 「すごいロケ地」裾野とは

 山﨑賢人さんが主演を務める4月19日公開の映画「陰陽師0」。平安時代を生きた安倍晴明が陰陽師になる前の物語を映画化したこの作品ですが、実は裾野市でもロケが行われています。映画やテレビドラマ、CMなど映像作品のロケーション撮影を支援するフィルムコミッションが設立10年を迎え、ますます誘致に盛り上がりを見せる裾野。さまざまな作品に登場し続ける「すごいロケ地」の活躍ぶりを1ページにまとめました。

「陰陽師0」青春を生きる新しい安倍晴明描く 監督・原作者語る

 裾野市などで撮影が行われた19日公開の映画「陰陽師0[おんみょうじゼロ]」は、夢枕獏のベストセラー小説を下敷きに、平安時代に実在した呪術を操る陰陽師、安倍晴明の若き日を描くオリジナル作品。「エコエコアザラク」「アンフェア」などを手がけた佐藤嗣麻子監督が、陰陽師の学校であり行政機関であった「陰陽寮」を舞台に、新しい「晴明像」を提示した。

映画「陰陽師0」の一場面
映画「陰陽師0」の一場面
 若くして呪術の天才と呼ばれている陰陽寮学生の晴明(山崎賢人)は、貴族の源博雅(染谷将太)から皇族の徽子[よしこ]女王(奈緒)の周辺で起こる怪奇現象の解明を頼まれる。解決に向けて動く2人の周辺で、ある若者が変死。怪異と事件の根源には一体何が-。
photo03
「脚本は自由にやってもらった」と話す夢枕獏(右)と「平安時代の知識が全くなくても見られる作りにした」という佐藤嗣麻子監督=3月、裾野市
 ユーモラスな会話劇あり、アクションあり、謎解きありのエンターテインメント作。佐藤監督は2016年ごろから脚本を書き始めた。
 「獏さんの『陰陽師』は映画、舞台、アニメなどでやり尽くされている。新しく映画にするのであれば、官僚としての陰陽師になる前の、若き日の晴明を描きたいと思った」
 30年以上前から佐藤監督と親交が続く夢枕にとっても、特別な作品という。
 「(佐藤監督が)映像の世界に入ったばかりの10代の時に知り合った。その時に『いつか俺の小説も映像化してよ』って。いろいろな状況が整って、ようやく昔の約束を果たせた」
 主演が山崎に決まったのは脚本執筆開始後。当初は晴明を誰が演じるかを想定しないで書いていた。
 「晴明と博雅の関係は、獏さんも公言しているとおり(コナン・ドイル原作の探偵小説に出てくる)ホームズとワトソン。晴明をシャーロック・ホームズの性格にしておけば、最終的に原作にのっとった場所に着地すると思っていた」
 現場では山崎、染谷と対話を繰り返しながら役柄をつくり込んでいった。
 「晴明と博雅の距離感をつかんでほしくて、出会いのシーンでは互いのせりふを全部覚えてもらい、役を交換して演じてもらった。これまで試みたことのない、エクササイズ的なこともした」
 骨太なメインストーリーに小さなエピソードが精緻に絡む。VFXを織り交ぜた絢爛[けんらん]豪華な風景描写や、平安時代の建築や小道具の美しさ、逆光を巧みに利用したカメラワークも見どころ。夢枕は「魔法や呪術がストーリーを崩さず、バランスよく溶け込んでいる。優れた青春物語。新しい晴明像ができた」とたたえた。
(教育文化部・橋爪充)       
〈2024.04.16 あなたの静岡新聞〉

「陰陽師0」裾野で先行上映 佐藤監督「乗馬シーンなどを撮影」

 裾野市はこのほど、同市がロケ地になった映画「陰陽師(おんみょうじ)0」の先行上映会とトークショーを市民文化センターで開いた。市内外から訪れた多くのファンが4月19日の全国劇場公開に先駆けて観賞し、佐藤嗣麻子監督は「陰陽師は日本のファンタジーだと思っている。映画化できて本当にうれしい」と笑顔で語った。

映画「陰陽師0」の先行上映会でトークショーを繰り広げる佐藤監督(左)と夢枕さん=裾野市民文化センター
映画「陰陽師0」の先行上映会でトークショーを繰り広げる佐藤監督(左)と夢枕さん=裾野市民文化センター
 主人公である平安中期の陰陽家・安倍晴明を俳優の山崎賢人さんが演じ、晴明の秘められた学生時代を描いた。佐藤監督はトークショーで原作者の夢枕獏さんと対談し、「原作の世界観に山崎さんがぴったりだと思った。裾野市のロケは1週間で乗馬シーンなどを撮影した」と紹介した。
 夢枕さんは強く印象に残った場面に「山崎さんの演技、言葉の力」を挙げ、「今回の撮影では裾野市に来る機会がなかったので、次回作があればぜひ訪れたい」と話した。
(東部総局・杉山諭)         
〈2024.03.25 あなたの静岡新聞〉

さまざまなロケ誘致に裾野市が力 朝ドラの撮影も

 裾野市ロケによるまちづくり推進協議会が15日発表した2023年度のロケ支援件数は、前年度と同じ過去最多タイの35件だった。推定の経済波及効果は約4500万円で、8・1%減少した。

 経済波及効果の減少は長期滞在型の撮影が少なかった影響という。ロケの下見は前年度を4・6%上回る135件だった。
 23年度に市内での撮影を支援した主な作品は映画「missing」、同「スマホを落としただけなのに」最終章、連続テレビ小説「らんまん」など。十里木樹海や中央公園、ソバ畑などが撮影地に選ばれた。
 推進協は市と関係団体でつくるフィルムコミッション。14年に発足した。
(東部総局・杉山諭)       
〈2024.04.16 あなたの静岡新聞〉

フィルムコミッション設立10年 今後もプロモーション強化へ

裾野市内で行われた映画の撮影風景(市提供)
裾野市内で行われた映画の撮影風景(市提供)
 映画やテレビドラマ、CMなど映像作品のロケーション撮影を支援する「裾野市ロケによるまちづくり推進協議会」は2月、設立10年を迎える。フィルムコミッション(FC)としては後発だったが、市内での撮影回数と経済効果は設立当初の2倍以上に増え、話題作品の舞台に次々となっている。市などはロケ誘致を観光事業の重点戦略に位置づけ、プロモーション活動を強化する方針だ。
photo03

 協議会は2014年2月、市と経済団体、地域団体で立ち上げた。撮影が円滑に進むようにロケ地の提案や関係機関との交渉、事業者紹介、エキストラ手配の協力を担い、作品のPRに努める。ロケの実施は14年度15件、経済効果約2200万円から、22年度は過去最多の35件、経済効果約4900万円に上った。
 首都圏から100キロ圏内で、富士山麓の大自然や市街地、総合運動公園、寺社など、さまざまな撮影が可能。公共施設も臨機応変に貸し出す。市情報発信課の担当者は「海や駅前ロータリー、アーケードのある商店街など、市内での撮影が難しい場合は近隣市町と協力して広域的に紹介する」と話す。
 今後はコロナ禍で自粛していたプロモーション活動を本格的に再開するという。カーアクションや爆破シーンなどのスタント体験を活用する観光誘客も始める。村田悠市長は「策定中の観光戦略にロケツーリズムを盛り込み、新たな観光コンテンツ造成による交流人口拡大、地域活性化につなげたい」と強調する。
(東部総局・杉山諭) 
〈2024.02.01 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞