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打倒餃子!? 脇役から主役になれるか、「シュウマイ」の逆襲

シュウマイの魅力を発信

日本人に馴染みのある点心の代表格といえば、餃子とシュウマイ! 餃子は、静岡県内でも浜松市が購入額を争っていたり、何かと話題になることが多いのですが、一方でシュウマイは影が薄いと思っていました。ところが今、シュウマイの逆襲が静かに始まっているとのこと。詳しい話を、シュウマイ研究家でシュウマイの歴史を分析した本、『シュウマイの本』著者のシュウマイ潤さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がうかがいました。
※2月23日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:シュウマイ潤さんは、2015年ごろからシュウマイの研究を始められ、インスタグラムでシュウマイ情報を発信。過去には、TBSの「マツコの知らない世界」に出演されたり、崎陽軒の社長と対談されたり。現在は「日本シュウマイ協会」で精力的に活動されているということですが、具体的にどんな活動をされているのですか?

シュウマイ潤:シュウマイを日本でもっと食べてもらえるようなムーブメントを起こしたい!ということで発足してみました。協会では2月26日を、つつむで「シュウマイの日」としました。今年は、「シュウマイと私」というつぶやきでTwitterやInstagramで発信してくださいと呼びかけをしたり、メーカーで開催したイベント情報を協会でも告知をしたりしました。

牧野:今までどのくらいの量のシュウマイを食べてきたのですか?

シュウマイ潤:2021年末までで、だいたい1000種類以上は食べています。

牧野:特にびっくりしたような、変わったシュウマイはありましたか?

シュウマイ潤:いろいろなシュウマイに出会っているんですが、一番びっくりしたのは、具がないというか、全部皮のようなつなぎのような具材を丸めて蒸しただけのシュウマイです。群馬県桐生市で出会ったシュウマイですが、それをソースと青のりで食べるんです。

牧野:美味しいんですか?

シュウマイ潤:何ともいえない素朴な味わいで、また食べたくなります。いわゆるシュウマイ的な、懐かしさのあるシュウマイでした。

牧野:それは食べてみたい! やっぱり全国探すといろいろあるものですね。餃子に比べるとシュウマイは影が薄い存在でしたが、今は冷凍シュウマイ市場が熱いんですよね!?

シュウマイ潤:この2年で売り上げが伸びているのがデータにも出ているみたいで、私もびっくりしています。

牧野:例えば、人気のものはどんなものがありますか?

シュウマイ潤:代表格が、味の素冷凍食品「ザ・シュウマイ」です。これが冷凍シュウマイブームの火ぶたを切った存在です。

牧野:味の素は、餃子だけでなくシュウマイ界でも強いんですね。

シュウマイ潤:シェアでもトップをいっているので、シュウマイも王者といっていいのではないでしょうか。

牧野:味の素に続くのは、どのあたりですか?

シュウマイ潤:マルハニチロ「五目シュウマイ 香りと旨み」です。本格中華シュウマイという感じで、これまでの冷凍シュウマイにはないリッチな味わいで、食べ応えもかなりあります。

牧野:ほかにもありますか?

シュウマイ潤:イートアンドフーズ「大阪王将 たれつき焼売」です。昔ながらのシュウマイをタケノコなどで食感を強調しています。今までの脇役シュウマイにはない、主役級のシュウマイとなっています。それぞれ個性が違うのですが、食卓のメインになるシュウマイで、これからますます人気が高まっていくと思います。
 
牧野:『シュウマイの本』を読ませていただいたのですが、世代別にも分けることができるんですね。「第一世代」が1870年代に中華料理店のメニューとして日本に上陸して、以来どんどん変化を繰り返し、持ち帰り用のおみやげとして浸透してきたのが「第四世代」くらいで、そして今は「第七世代」まで来ている。「第七世代」の現代風のシュウマイにはどんな特徴があるのでしょうか?

シュウマイ潤:簡単にいうと、今までは中華料理をベースにしたシュウマイからそんなに逸脱していませんでした。そういった常識を覆すような、シュウマイの概念を変えるようなシュウマイが出てきていて、そういったものを「第七世代」と呼んでいます。
 
​牧野:例えばどういうものがあるのですか?

シュウマイ潤:シュウマイは今までは蒸す料理だったと思うのですが、揚げる、焼く、スープに入れるものなどが現れ始めました。スープは、水餃子のような感じで浸したものです。

牧野:なるほど、そういうものもあるんですね。シュウマイはあのサイズ感からいっても、どうしても脇役になりがちじゃないですか。でも、「シュウマイのブームは、これからますます来るぞ」とシュウマイ潤さんは読んでいるんですか?

シュウマイ潤:「第七世代」は脇役というより、完全に主役の位置づけです。食事のメインになるような味付けで、具材も豚以外で牛を使ったシュウマイが出てきています。イノシシなどのジビエや羊などいわゆるメイン食材でシュウマイを作るシュウマイ酒場などの専門店も出てきているので、今後じゅうぶん餃子的な位置づけになる可能性があるんじゃないかと思います。

牧野:そういうシュウマイが次々と出てきているなかで、日本国内でいうとどの地域がシュウマイについてアツいのか、静岡はどのくらいのポジションにいるのか教えてください。
 
シュウマイ潤:全国的な中心地といえば、崎陽軒のある横浜ですね。中華街の影響もあって、消費量も横浜が全国一ということですし、シュウマイブームの中心になっていると思います。静岡は、実はもっとシュウマイが盛り上がるんじゃないかと期待しているエリアなんです。

牧野:けっこう上位にいると思いますか?

シュウマイ潤:いると思います。なぜかというと、新しいシュウマイが生まれ始めているんです。例えば、昨年「熱海シュウマイ」というお店ができました。ここはシュウマイの皮が油揚げでくるんだものなんです。日本全国をみても初めてのタイプで、熱海エリアでもじわじわ存在感を増しています。

また、静岡には歴史ある町中華が多いですよね。町中華があれば、そこにシュウマイがある確率が高いんです! そんなクラシックな第3世代的なシュウマイもありつつ、第6・第7世代のようなご当地感もありつつ新しいシュウマイも出てきているので、静岡は面白い場所だと思っています。

牧野:まだまだ発掘しがいもありますしね。もし、静岡にいらっしゃるときは私もサポートしますのでいってくださいね、車出します(笑)。 他にどこか静岡県で注目されているところはありますか?

シュウマイ潤:ホテルグランヒルズ静岡にある「鉄板焼けやき」の焼きシュウマイが、静岡産の牛を使っているシュウマイで、しかも鉄板で蒸し焼きにして食べるんです。このリッチかつ斬新な味は、静岡の人にもぜひ体験していただきたいです。

 牧野:本の話に戻りますが、昨年12月に日本のシュウマイの歴史を分析した『シュウマイの本』を発売されたんですよね。これはどんな本ですか?

シュウマイ潤:その名の通り、一冊まるごとシュウマイのことだけを載せた本です。私が食べた全国の主要なシュウマイを紹介するのはもちろん、世代別にシュウマイの特徴によって分けて紹介しています。単なるお店の紹介だけでなく、日本におけるシュウマイの歴史や食文化全体についても触れていますので、興味がある人はぜひ手にとってみてください。
 
牧野: 最後に、みなさんにメッセージをお願いします!

シュウマイ潤:静岡は「第3世代」の町中華のシュウマイや「第6・7世代」の新しいシュウマイもありますので、新しい可能性を非常に感じています。私自身これからもっと静岡で調査したいので、一緒に静岡シュウマイの魅力を発掘していきましょう!
今回お話をうかがったのは……シュウマイ潤さん
シュウマイジャーナリスト、研究家、日本シュウマイ協会発起人。2015年頃からシュウマイ研究を開始し、Instagram(シュウマイ生活)を中心に情報を発信。過去にはTBSの「マツコの知らない世界」に出演。その他、「東京シュウマイ弁当」(オーガニックキッチン)の監修など、活動の幅を広げている。

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