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教えて!井上先生!秋口のメンタルケア・子どものSOSに気づくには! ?

金髪アフロヘアがトレードマークの精神科医 、井上智介先生に「秋を穏やかに過ごすコツ」を、「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人、SBSアナウンサーの堀葵衣がうかがいました。
 

夏の終わりはナイーブになりがち!?

鉄崎・堀:井上先生、こんにちわさび〜!

鉄崎:夏の終わりは少し寂しい気持ちになりますが、先生のところにもそういった相談が来ますか。

井上:はい。夏から秋に変わっていく時期は太陽が出ている時間が短くなるので精神的にはセンチメンタルな方向に動きやすく、ちょっとしたことで悲しくなったり、寂しくなったり、涙もろくなったりすることがある時期でもありますね。

鉄崎:ではどうしたらいいのでしょうか。

井上:3つほどポイントをお伝えします。

心を整える3つのコツ

1.生活リズムを乱さない

井上:朝日が出るタイミングが徐々に遅くなるこの時期は、それに伴い朝起きる時間が遅くなる人が多いです。ですが、朝起きる時間は現状より15分以上は変えないようにしましょう。

2.湯船に浸かって入浴

井上:朝晩はぐっと気温が下がっていきますが、とはいえ昼間はまだ冷房の効いた部屋にいることも多いこの時期は、思った以上に体が冷えています。シャワー浴ではなく、しっかり湯船に浸かって体を温める習慣を身に付けましょう。

3.自然に触れる

井上:この時期は秋に向けて自然の植物が表情を変える季節です。生命の息吹を体感することでリラックス効果が高まります。森林浴にはなかなか行けない人も多いと思いますが、近くの公園のベンチに座って過ごすだけでもOKです。たまには仕事の昼休みに、近くの公園のベンチに座って昼ご飯を食べるということもぜひやってほしいです。

9月は子どもの自殺が一番多い月

堀:夏休み明けの新学期は学校が憂鬱に感じる子どもさんも多くいますし、9月1日は子どもの自殺が最も多いという統計もあります。こちらはどうしたらいいでしょうか。

井上:まずは子どもの様子の変化に気づくということが大事だと思います。子ども自身、気づかれないように振る舞うところもあるのでなかなか気づきにくいと思いますが、代表的なサインをお伝えします。

まずはじめに、最近親の顔を見なくなるということが挙げられます。これまでと比べて親と目が合う回数が少なくなっているなというところをまず察知してほしいです。そして、直感でいいので、元気がない様子ぜひ感じとってほしいです。子どもの場合、メンタルの調子を言葉で表現するのは難しい場合があります。体の症状に出てくる場合も多いので、最近やたら「頭が痛い」「お腹が痛い」「朝、起きるのがしんどそうだな」などちょっとした変化が出てくることを知っておいてほしいですね。親に心配をかけたくないという気持ちもあると思いますが、気づいたときは腫れ物に触るような扱いはしないで「悩んでいることがあるんじゃない?」「嫌なことがあるんじゃない?」と聞いてあげてください。

鉄崎:ここはストレートでいいですか。

井上:はい。ここはストレートな方がいいです。回りくどい聞き方をして、うまく交わされてしまうより、ストレートに聞くことを大事にしてください。「親が心配するんじゃないか」「言ったら大ごとになっちゃんじゃないか」と思って親に相談できない子も多いので、家庭教育の一貫として「親に言いにくいことがあれば、外で相談してもいいんだよ」ということをぜひ伝えてほしいです。子どもは親を通さずに外で自分の悩んでいることを相談していいのかというのを躊躇する子が多いです。外部に相談してもいいんだよということを親から教え、相談先についても「こういう相談先があるんだよ」と一緒に共有してほしいです。

厚労省が作っている生活相談サイト「まもろうよ こころ」を、全てひらがなで検索すると電話やSNSによる相談窓口が分かります。こういった場所を使っていいんだということをぜひ親から教えてあげてください。

堀:それでも子どもが「学校に行きたくない」と言った場合はどうすればいいですか。

井上:親は「学校に行かなきゃだめだ」と世間的な常識をバッと言ってしまいがちですが、まずは「正直に言ってくれてありがとう」と子どもに伝えることから始めてください。そのうえで1週間単位で学校を休ませて、本人の様子をみてください。休んで少しずつでも調子が良くなっていくのであれば、学校に行きたくない理由がどこにあるのかを話し合い、必要であれば学校側とも話し合って、解決に向かって動いてほしいです。

堀:なるほど!

鉄崎:少し良くなってからのほうが前向きになっていいかもしれないですね。

井上:1日休むだけだとすぐに明日が来てしまうので、1週間ごろっと休むことを目安にしてください。1週間休んでも全く改善する様子がなく、やっぱり食欲がないとか、夜も眠れてなさそうな状態が続く場合は、うつ状態に進んでいる可能性があるので医療が必要になります。その場合は早めに病院を受診するように考えてほしいです。

鉄崎:分かりました。改めてリスナーにメッセージをお願いします。

井上:季節の変わり目というだけで十分に負担のかかる時期ですので、自分の中の「疲れたな」という気持ちを素直に受け取って、無理に背伸びしないで心も体もケアすることを大事にしてください。

堀:井上先生は、Yahoo!ニュースのコメント欄で公式コメンテイターも務めています。いろいろなニュースに専門家としてコメントしているのでこちらもぜひチェックしてください。

鉄崎・堀:井上先生、ありがとうございました。

※2023年8月29日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。

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免責事項
今回、お話をうかがったのは……井上智介先生
産業医として毎月40社を訪問し、悩める従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話重視の精神的なケアを行う。また、精神科医としてもうつ病などの治療だけでなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやSNS、講演会などでは「ラフな人生をめざすこと」を発信している
 

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