精神科医の井上先生に聞く、春を穏やかに過ごすために実践すべき3つのコト

金髪アフロヘアがトレードマークの精神科医井上智介先生に「この春を穏やかに過ごすコツ」を、「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人、SBSアナウンサーの山﨑加奈がうかがいました。（写真はすべて井上智介先生提供）

※2023年3月30日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。

3つの意識で心も体もスッキリ

鉄崎：環境が大きく変わる時期です。この時期は相談が多いですか。

井上：引っ越しや人事異動など、新しい物事が起こったり、人に出会う機会がガラッと変わってしまったりする人が多いです。真面目な人ほど環境に順応しようと頑張りすぎて、ヘトヘトになってしまいます。

鉄崎：いろいろと環境の変わる春ですが、健やかに過ごすコツを教えてください。

1.朝のルーティンを作る

環境の変化が大きいときは、頭の中でわちゃわちゃ考えてしまうことが多いです。朝は、「何をしようか」「どうしようか」の決断で、頭を使わないことが大切です。例えば、「昨日の夜から明日着ていく服を先に決めておいて、朝はそれを着るだけにしておく」「朝起きてから家を出るまでのルーティンを決めておく」と、そんなに頭を使わないのでおすすめです。

2.マイペースに過ごす

新しい環境は、周りに巻き込まれやすいので、ついつい無理をしてしまう人も多いです。SNSで、知人が新しい生活でキラキラして頑張っているところを見ると、「自分も新しいことを始めなくては」「頑張らなくてば」とアクセルがかかる人がいます。しかし”自分は自分、他人は他人”という境界線を意識して、マイペースに過ごすことが大切です。

3.セルフケアを大事にする

新生活で思った以上にエネルギーを消費しているので、自分の中でケアしていくことが大切です。4月は新しいワクワクするコンテンツが世の中にあふれる時期なので、寝不足になる人が多いです。お風呂に入る時間を削ったり、入浴をシャワー浴にする人が増える時期ですが、睡眠や入浴の時間は大切にしてください。友人や家族と話をする時間もセルフケアになるので、信頼できる人の話を聞いてみてください。

4月こそ、自分だけの約束事を作る

山﨑：私は新しい環境になる4月が苦手です。これはどうしようもないですか。

井上：自分が苦手とわかっているのであれば、ケアしていくことを大事にしてほしいです。頭を空っぽにしてボーッとする時間を、1日に10〜15分とってください。いくら仲の良い人でも一緒にいるとエネルギーを使ってしんどくなってしまうので、1人の時間も大事にしてください。

鉄崎：お酒に逃げるのはよくないですか。

井上：量がひどくなってしまうとエスカレートするので、健全な方法ではないです。自分の趣味や気分転換できるものは大事にしてほしいです。

鉄崎：新しい環境で頑張るために、前向きに新生活をスタートさせるコツを教えてださい。

井上：自分に対して簡単な約束をして、それができているのか確認する習慣を取り入れてみてください。例えば、「スーパーに行った時に、店員さんの顔を見てありがとうと言う」「明日は運転中に1台道を譲ろう」など、何でもいいので自分の中で約束を作ってください。振り返って「できているかどうか」に目を向けられることが大切で、これをすることで自分への自信にもつながります。

鉄崎：ポジティブに考えポジティブに動くということですね！

もし失敗したり落ち込んでしまったときはどうしたらいいですか。

井上：何か新しいことを始めたときは必ず成長しています。必ずしも成功するとは限りませんが、「必ず成長している」ということに安心して、新しい環境に飛び込んでいってほしいです。

新生活が始まった春に読みたいおすすめ本

写真提供：井上智介先生

山﨑：この時期に読みたい、先生が出されているおすすめの本を教えてください。

井上：KADOKAWAから出版している「考えなくでもいいことリスト」がおすすめです。

鉄崎：最後にリスナーにメッセージをお願いします。

井上：新しい環境に不安や緊張を感じている人も多いと思います。しかし自分を信じて、健康的で自分らしさを大切に、新生活の変化も楽しめるように一緒に頑張っていきましょう。

鉄崎：ありがとうございました。またいろいろなことを教えてください。

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免責事項

今回、お話をうかがったのは……井上智介先生
産業医として毎月40社を訪問し、悩める従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話重視の精神的なケアを行う。また、精神科医としてもうつ病などの治療だけでなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやSNS、講演会などでは「ラフな人生をめざすこと」を発信している。