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精神科医の井上先生に聞く、ネットニュースやSNSとの上手な付き合い方

便利だからこそ、ついつい見てしまうネットニュースやSNS。その上手な付き合い方について、初代ヤフコメ大賞で、金髪アフロの精神科医の井上智介先生に「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人、SBSアナウンサーの堀葵衣がお話をうかがいました。
※2023年5月30日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。

ネットニュースやSNSを情報源として活用

堀:鉄崎さんは、1日に何回くらいネットニュースを見ますか。

鉄崎:放送のために見たり、放送中も見たり。夜に家でも見ます。情報を得るために結構見ています。堀ちゃんはどう?

堀:ネットニュースはもちろんですが、SNSも情報源として活用しています。今回は、初代ヤフコメ大賞で金髪アフロの精神科医の井上智介先生に、ネットニュースやSNSとの付き合い方について教わります。

鉄崎:井上先生は、Yahoo!ニュースのコメントを書くとき、どんなことを心がけていますか。

井上:できるだけ専門的な用語を使わないように気をつけています。また広い意味で炎上しているニュースが多いですが、やってしまった行為や行動に対しての批判的な内容は書くことはあっても、その人の性格や抱えている病気などパーソナルの部分までは傷つけないような表現をするように気をつけています。

鉄崎:井上先生のような人のコメントは、賛成や反対の意見より、「参考になった」というボタンを押す人が多いんじゃないですか。

井上:専門家として活動しているので、勉強になったと思ってもらえたらいいですね。

堀:私もネットニュースやSNSをよく見ますが、いくらでも見続けられてしまうから疲れてしまいます。そういった相談もありますか。

井上:心が繊細な人はネガティブなニュースの内容を、まるごと自分のことのように受け取ってしまったり、被害に遭われた方の気持ちに共感しすぎたりする人もいますね。

鉄崎:そんな時は、どうやって付き合っていけばいいのか、3つのケースに分けて教えていただきます。

こんなときどうする?

1.芸能界のゴシップニュース

井上:人間だからこそ、芸能界のゴシップニュースも気になります。見ることは悪いことではありません。でも罵詈雑言や誹謗中傷をコメントしている人もいて、それを見て気分が悪くなることもあると思います。そういったコメントは「ごく偏った一部の意見なんだ」と、関心を持たずにサッと気持ちを切り替えることが大事です。あと人間なので、モヤモヤ・イライラしたときに、誰かに攻撃的な言葉を使ってしまう可能性もあるので、そうならないように注意するために、自分の学びに変えていけたらいいのかなと思います。

鉄崎:叩いている人の意見を読んで、俺の気持ちを代弁してくれていると、スカッとしてしまうことがあるなぁ…。

井上:それは絶対にあります。真っ当に生きている人ほど、「悪いことをしている人は叩かれて当然だ」という考え方が膨らみます。

鉄崎:叩いている人が誰なのか気になって、違うサイトで調べて、その人の卒業した小学校まで特定してしまうケースもありますよね。

井上:その人の個人情報を特定したり、その人が過去に発した言葉を探したりなど、叩かれやすくなっていると思います。その人の行動に関する批判はいいと思いますが、その人の小学校の話など、全然関係のないところまで批判するのは違うと思います。本人を前にして言える話なのかどうかが大切ですね。

鉄崎:ある程度距離をとって、俯瞰することも大事ですよね。

2.地震や災害のニュース

堀:地震や災害のニュースで気分が落ち込んでしまったときの向き合い方を教えて下さい。

井上:このような悩みも多いですが、こういう時は無理せずに、入ってくるニュースの量を減らしてみてください。災害は大事な話題ではありますが、平常心を保ち自分自身をコントロールするために、あえて距離をとることも大事です。そして今の自分にできることをやってみることも大切になってきます。防災バッグの確認や準備をしてみるのもいいですし、災害用伝言ダイヤルの使い方や集合場所の確認などをすることで、怖さを軽減させることができます。

鉄崎:ちょっとでもプラスの行動ですね。

3.事件や事故のニュース

鉄崎:事件や事故、先生の不祥事など、子どもに見せたくないニュースは、親はどうすればいいですか。

井上:2つくらいステップがあります。まずは子どもの怖い気持ちに寄り添い、あえて大人が「怖いよね」「お母さんも同じ気持ちだよ」というように、子どもが感じる気持ちをあえて表現し、安心させてあげてください。

そのうえで、事件や事故に巻き込まれたら、どうするのかを伝えることが大切です。「なにかあったら、すぐにお母さんやお父さんに言ってね」などとしっかり伝え、「大人に言っていいんだ」ということを教育として伝えてください。

鉄崎:「そのニュースについてどう思ったのか」を親と話せるといいですね。

井上:隠したりすることで「なにか被害にあっても言えない」「こんなことを言ったら悲しむのではないか」と思ってしまうので、「言っていいんだ」「大丈夫なんだ」というところを伝えてほしいです。

堀:ネットニュースを見るのに、おすすめなタイミングはありますか。

井上:おすすめの時間はありませんが、逆におすすめできない時間があります。それは夜に寝る1時間ぐらい前の時間です。ネットニュースは良いニュースも悪いニュースも、心が動くものが多いです。寝る前は心を穏やかにしておくことが大事なので、朝に見る習慣をつけてほしいですね。

堀:悲しいニュースに引っ張られてしまって、悪夢をみてしまうことがあります。

鉄崎:わかるわかる。あらためてネットニュースやSNSと、どう付き合っていったらいいのか、リスナーにメッセージをお願いします。

井上:あまりにも刺激が強いものからは、サッと離れて心を落ち着かせることがまずは大切です。それでも心がザワザワするときは、そのニュースの内容を踏まえて、「自分に何ができるのか」と今の自分の生活に落とし込んで考えることで、備えにつながります。

鉄崎:これからも井上先生のYahoo!ニュースのコメント解説をしっかり読みます。今回も教えていただきありがとうございました。
今回、お話をうかがったのは……井上智介先生
産業医として毎月40社を訪問し、悩める従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話重視の精神的なケアを行う。また、精神科医としてもうつ病などの治療だけでなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやSNS、講演会などでは「ラフな人生をめざすこと」を発信している。

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