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【地酒とクラフトビール】静岡の地酒が新章突入!? クラフトビールにも新たなトレンドが

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「地酒とクラフトビール」。先生役は静岡新聞教育文化部長の橋爪充が務めます。 (SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年10月4日放送)

10月1日は「日本酒の日」 地酒まつり大盛況

(山田)きょうは橋爪さんの真骨頂、お酒とビールですね。

(橋爪)10月1日に沼津市で「地酒まつり」というイベントが開催されました。日本酒造組合中央会が10月1日を「日本酒の日」と定めていて、毎年同じ時刻に乾杯しようと各地でイベントが開かれています。

(山田)時期ですもんね。

(橋爪)そうですね。昔は寒造りと言って10月以降に日本酒造りを始める蔵が多かったことから、10月1日という日付になってるようです。今はもう少し早めに造り始めるところも多いので、若干ずれてはきています。沼津市で開かれた今年の地酒まつりは人がとても多かったです。900人が来場したようです。

(山田)多いですね。女性を中心に日本酒ファンが本当に増えてきてるなと感じますね。地酒まつりに参加してどうでしたか。

(橋爪)静岡県内の21の蔵元がブース出展していて、それ以外の蔵元の日本酒もあちこちで飲めたりもしました。入口でおちょこが配られ、それぞれのブースに行くと美酒を注いでもらえるという形です。

(山田)楽しそうですね。

(橋爪)1時間半という時間制限があって、居心地の良い空間でした。各蔵元は純米大吟醸とかも当たり前のように出していました。蔵によっては「斗瓶囲い」も出品していました。

(山田)どういうものなんですか。

(橋爪)発酵させたもろみを大きな布の袋に入れて、重量だけでポタポタと滴り落ちてくるものを集めたお酒です。濃厚かつ味わいの深い希少なお酒なんですが、それを惜しげもなく出している蔵元もありました。

私は客として行ったんですけど、せっかくいろんな蔵元とお話ができる機会なので取材というか飲みながらお話を聞きました。そこで、今静岡のお酒に大きな変化が起こっているという情報を仕入れましたので、今日はその話をしようと思います。

(山田)静岡は吟醸王国と言われるぐらいお酒はすごいんですよね。

(橋爪)そうですね。全国の日本酒好きの中でも、「静岡のお酒と言ったらこうだよね」というものがあります。今からお話することもその一部なんです。山田さん、日本酒の原材料と言ったら何だか分かりますか。

(山田)酒米ですよね。あとは米麹と水。

(橋爪)そうなんですよ。酒用の米は普通の食用の米とは違い、酒造好適米と言うじゃないですか。

(山田)前に1度、酒米を炊いてもらって食べたことがあるんですけど、美味しくないんですよ。酒造り用の米と食べる米はぜんぜん違うんだと感じました。

(橋爪)酒米は山田錦や五百万石が有名なんですけど、静岡には県が誇る「誉富士」というものがあります。2005年から本格的に使われるようになりました。酒屋や飲食店に行くと、誉富士を使っている酒にはシンボルマークが貼ってあるのを見ます。

(山田)ネイビー色のものですよね。

(橋爪)静岡の酒蔵は全部で27ヵ所あるんですけど、地酒まつりの会場で県の関係者にお聞きしたら、今、誉富士を使ってるのは23蔵だそうなんです。使ってないとこもあるんですが、これはコロナの関係で製造量が減っていて、一時的に止めてるっていうところが多いそうなんです。このため、ほぼ全ての蔵元が誉富士を使っているということのようです。

誉富士は、食中酒として料理の味を引き立てると言われています。米としてのうまみやまろやかさがあるとのことです。また、酒造りの責任者である杜氏さんが自分の技術を使って造りたい酒の味を具現化しやすい、バラエティーに富んだ味わいを引き出しやすいというのも特徴の1つなんだそうです。

約20年の歴史があるこの誉富士が新章に突入するということを聞きました。

(山田)新章?

静岡に新酒米「令和誉富士」誕生!

(橋爪)新しい酒造好適米が使われるようになるということです。後継品種は「令和誉富士」といいます。2023年度から本格的に作付けされています。醸造適性や使い勝手は誉富士と変わらないそうです。違うのは、収量が多いという点。県の資料を見たら、単位面積当たり12%程度収量が増えるとなっていました。

愛知県に「夢吟香」という酒米があり、それと誉富士の兄弟系統を掛け合わせて作ったのが令和誉富士になります。

(山田)収量が多くなるとどんないいことがあるんですか。

(橋爪)農家の収入が増えるという、非常に大事なことが実現することになると思います。

(山田)楽しみですね。

(橋爪)地酒まつりでも令和誉富士を使ったお酒を出している蔵が3つありました。私がノロノロしてるうちにあっという間になくなってしまいましたが(笑)。

(山田)日本酒ファンは早く飲みたいんですね。

(橋爪)聞いた話だと清水区の正雪と、静岡の萩錦が出していたそうです。私が飲めたのは島田市の大村屋酒造場の「若竹純米大吟醸レトロラベル」というお酒でした。

(山田)どうでしたか。

(橋爪)美味しかったのですが、自分ではうまく言葉で表現できないので、そのときに大村屋酒造場が掲げていたラベルに書いてあったことをお伝えします。「清涼感のある芳香、繊細な味わい、凛としたキレ」と紹介されていました。

(山田)今後、われわれが飲める日も来るんですね。

(橋爪)今年から来年にかけて、これまで誉富士でお酒を造っていた蔵元が令和誉富士に切り替えていくことが起こりえると思います。誉富士で造った酒を今のうちに買っておいて、同じ銘柄の令和誉富士で造った酒と飲み比べるのも面白そうですね。

クラフトビールにフルーツ果汁の波


(山田)クラフトビールの話もあるんですよね。

(橋爪)そうですね。JR浜松駅前のギャラリーモール「ソラモ」で9月10日、クラフトビールのフェスティバルが開かれて大変な賑わいでした。ここで自分なりに感じたのは、地元のフルーツを使うビールがかなり目立つということでした。

(山田)それが今のビールのトレンドなんですか。

(橋爪)そうだと思いますね。IPAが定着したことと、果汁を使うビールがすごく多くなったなという印象でした。少し例を挙げると、岐阜の「カマドブリュワリー」がサワーチェリーの果汁を使った「サマーチェリーサワー」とか、マンゴー果汁を使った「真夏の果実トロピックヘイズ」というビールを出していました。

富山の「ブルーミン」にはラズベリーを使った「ベリーマーケット」というビールがありました。ベルジャン製法で醸造していて非常に美味しかったです。

(山田)新しい何かカクテルのようでビールの域を超えてきてますね。

(橋爪)もう1つ、横浜ベイブルーイングでは「ダブルラッシュゆずIPA」を造っています。静岡醸造でも造っていますし、ゆずを使ってるビールは飲んだことないですか。

(山田)あります。

(橋爪)ビールはこれまで、苦味などが強調されがちでしたが、甘みや飲みやすさを基軸にしたビールというのが市民権を得つつあるなということがすごく印象として残りました。

(山田)チューハイとかを飲んでいた人たちがそういうビールに移っていく可能性がありそうですね。

(橋爪)そうですね。味わいがより複雑だったりしますし、女性受けを追求した結果、こんな感じになっていったのかなと思います。

(山田)ビールに関しては今後、静岡市でもイベントがありますね。

(橋爪)10月はすごいです。「第6回静岡地ビールまつり」が10月14日、15日に清水区のエスパルスドリームプラザで開催され、17の醸造場が集まるとアナウンスされています。その2週間後の28日、29日には、葵区の常盤公園で「静岡クラフトビール&ウイスキーフェア2023」があります。これは全国20ヵ所の醸造場が集まります。

(山田)こんなお話をしていたら飲みたくなっちゃいました(笑)。今日の勉強はこれでおしまい!

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