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『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』Netflixで配信!3DCGをメインにしたガンダム作品を振り返る

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。3DCGの『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』がNetflixで配信されるというニュースを受け、3DCGをメインに扱ったガンダム作品についてお話を伺いました。※頭が大きく手足が短い低頭身のSD(スーパー・ディフォルメ)ガンダムは除きます。(以下語り、藤津亮太さん)

3DCG作品の歴史をたどる

時系列で一番古いのは、1998年8月「ガンダムビッグバン宣言」というイベントで、スペシャル映像として流れた『GUNDAM Mission to the Rise』という作品です。これは『AKIRA』などで知られる大友克洋さんが作った3DCG作品。作中にセリフらしいセリフはないのですが、超光速ジャンプをするための装置を巡って、地球連邦軍とジオン公国が争うという短編でした。これが俗に“大友ガンダム”と呼ばれた作品です。

1999年には『G-SAVIOUR』という作品が作られ、2000年にテレビ放送されています。これはメカがCGになっていて、カナダの制作プロダクションと当時の制作会社サンライズが組んで作ったもの。『機動戦士ガンダム』に端を発する「宇宙世紀」という年号を使う世界を舞台にしていますが、既存の宇宙世紀を使ったガンダム作品とはかぶらないように、かなり先の未来を舞台にしています。

海外と共同制作するという経験値を積むためとか、当時はまだ発展期だったCGでメカをを描くという挑戦をするとか、アメリカでガンダムの権利を確立するためとか、さまざまな戦略があってのタイトルだったようです。

2000年代に入ると、サンライズのD.I.D.というCGの部署が中心になってフル3DCG作品『MS IGLOO』という全9本のシリーズが作られます。これは最初のガンダムの舞台になった“一年戦争”が題材で、その戦いの中、両軍が作っていた実験兵器が取り上げられるというシリーズです。『機動戦士ガンダム0083』というビデオシリーズの監督をされた今西隆志さんが監督です。

今西監督はミリタリーにも造詣が深い人なので、それが作品にも反映され、一番ミリタリー色が強いシリーズになりました。第二次世界大戦で実用化されなかった兵器やあまり活躍しなかった兵器がヒントになっているエピソードもあるので、そのあたりを知ってる人だとなお面白いと思います。

この後、2001年から07年ぐらいにかけて、プラモデルに梱包されたり、店頭で上映するための作品集『GUNDAM EVOLVE』が作られました。1作だけCGを使っていないものもありますが、基本はCGをメインにしたシリーズです。これが『GUNDAM EVOLVE+』『GUNDAM EVOLVE../Ω』『GUNDAM EVOLVE../Α』という3枚のDVDにまとめられて販売もされました。

『GUNDAM EVOLVE+』には新作として「vガンダム」をCGで描くという作品が収録されています。この内容は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』なのですが、富野由悠季監督によるオリジナルストーリーで、映画と異なるハッピーエンドになっていました。これは一番インパクトが大きかったですね。

また、『GUNDAM EVOLVE』シリーズは、“if(もしかしたらこういうこともあったかもしれない)”というストーリーが多く、歴史の隙間を描くというよりは、CGを使って何ができるかを様々に挑戦するというトライアルな要素が多いものでした。

印象的だったのは、「Zガンダム」がテーマの回で、レッド・ゼータやホワイト・ゼータなどスーパーカーみたいなキラッキラのマシンが出てきて戦闘するエピソードがあります。

このエピソードでは、「キラキラ感のあるメカ表現」に挑戦するだけでなく、キャラクターのほうも “安彦シェーダー”といって、キャラクターデザインをしている安彦良和さんのイラストタッチを真似た彩色を行うという処理にも挑戦します。

この『GUNDAM EVOLVE』をメインに手掛けたチームがこの後、2003年から放送される『SDガンダムフォース』を作ることになります。

2009年には富野由悠季監督の『リング・オブ・ガンダム』という短編アニメーション作品もありました。地球の周囲にリングがあって、そのリングの謎を解くには、アムロの遺産が必要だという話。物語というより、世界観のポイントとなるキーワードを提示するショートフィルムでした。

最初に発表された『GUNDAM Mission to the Rise』からもう25年くらい経ってるので『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』はどういう風にやってくれるのか、楽しみだなと思っております。

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