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ファン待望の最新作!『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』についてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

2002年から始まった『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ

まずはおさらいをしましょう。『機動戦士ガンダムSEED』は2002年に始まったシリーズで、キャッチフレーズは「21世紀のファーストガンダム」。その世界では“コーディネイター”といわれている遺伝子操作によって生まれた能力の優れた人類と、“ナチュラル”と呼ばれる普通の人類の対立がストーリーの根底にあります。これはこの世界が抱えた本質的な問題なので、ここについてはすべてが解決してハッピーエンドになるということはないです。一定の問題を孕みながら続いていく、我々の世界と一緒ですね。

このコーディネイターとナチュラルの対立をベースに、2002年に『ガンダムSEED』というテレビシリーズが作られ、大ヒットとなりました。この時舞台になったのが、『ガンダムSEED』の架空の紀元でいうコズミック・イラ(C.E.)71年でした。この大ヒットを受けて作られた続編が、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004年)です。これがC.E.73年の物語。そして2006年に映画化が発表され、それが18年経ってようやく公開されたのが今回の劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』という流れになります。公開されたばかりなので、極力ネタバレなしで、お話をしますね。

今回の劇場版は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編なので『SEED DESTINY』 で起きた出来事が前提になっている部分はあります。ただ劇中の固有名詞などを、特に気にしない人は、映画のテンションが高いのですんなり世界観に入れるとは思うのですが、気になる方は公式サイトで一回あらすじを読んでおくと、ぐっと入りやすくなるかなと思います。

18年間の期待を背負った最新作

この作品の何がすごいかというと、公開まで18年かかったということでファンの熱気が強くて、公開から最初の3日間で興行収入10億円を超えたことです。この勢いだと興収40億円くらいに届く勢いです。おそらくは当時のファンが、懐かしさや待ちに待った気持ちで見に行ったと思うのですが、作品も、驚くくらい前のシリーズとテンションが同じなんです。ある意味、何にも変わってない。僕も見に行きましたが、本当に「SEED、SEEDじゃないか! ちょっとCGが増えたか。でもSEEDじゃないか」という印象を受けました。若干マニアックなことを言うと、口パクの描き方、パターンにもこだわっていて、そこはずっと生っぽい印象になってましたけれど。

注目の見どころのひとつはやはり戦闘シーンですね。冒頭から戦闘シーンがあってメカもたっぷり出てきます。全編で戦闘シーンは大きく3回。どれも趣向が違っていて、見どころは特にクライマックス。大きいものほど強い、派手なメカほど強いという見せ方が、いかにも『SEED』だという雰囲気を盛り上げました。

この映画の主題は主人公キラ・ヤマトとヒロインラクス・クラインの話。恋愛模様が展開するというよりは、愛による承認を巡る物語になっています。愛し愛されることによってその人のアイデンティティが安定するかどうか。昔、『ヤマトよ永遠に』(1980年)という映画があって、主人公の2人が愛を試されるという話だったのですが、今回も割とそういう感じはありますね。

当然、キラの友人、アスラン・ザラも出てくるのですが、キラとアスランが相対するシーンはすごくよかったです。あと『DESTINY』のシン・アスカのその後のことを心配していた人も多いと思うのですが、これも収まるところに収まっていました。性格も直情径行型のままでした。キラとアスランという年長者2人に対して、シンはちょっと弟っぽいところが目立つ感じでだったんですが、今回はそういうそれぞれの個性が際立つ感じのポジションになっていて、そこが良かったです。

とてもエモーショナルな作りで、戦いと愛というテーマがよく出ているので、僕の世代とかだと、「1980年前後にアニメファンが熱狂してたアニメってこういう感じだったな」と少し懐かしさも感じました。その点では『六神合体ゴッドマーズ』(1981年)も思い出しましたね。シリーズが好きな人はすごく楽しめると思いますし、知らない人も身を任せたくなるような勢いがあるので、きっと楽しめると思います。

SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!

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