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​劇場版『銀河鉄道999』ほかストーリーと音楽が融合して盛り上がるアニメ3選

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は70~80年代の作品から、印象的なライブシーンがあるものをご紹介いただきました。※以下語り、藤津亮太さん

1. 劇場版『銀河鉄道999』(1979年)

ゴダイゴの主題歌がたいへん有名ですが、実は作品中に挿入歌がかかるシーンがあります。主人公の鉄郎が立ち寄った惑星ヘビーメルダーという酒場でギターを爪弾き、リューズという女性が『やさしくしないで』という歌を歌うシーンがあります。この歌は、夢破れた大人を歌う悲しい歌です。

それを聞きながら酒場のおっちゃんたちがみんな泣いているんですよね。夢を持っている鉄郎と夢破れた大人たちが対比になるようなシーンではありますが、当時小学4年生で見た僕は感動しました。すごく大人っぽいシーンです。この『やさしくしないで』は名曲ですので、ぜひ一度観ていただければと思います。

2. 『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)

これは、森沢優という少女が、1年間の期限付きでもらった魔法で、アイドルのクリィミーマミに変身して活躍をしていくストーリーです。某レコード会社に所属していた太田貴子さんが、変身前も変身後の声も両方担当して、歌も歌っていました。

1年で魔法の期限が切れるので、優はマミの引退を決意して、ラストコンサートにのぞみます。実はシリーズの中盤で、優は、幼なじみの俊夫に変身を見られて、魔法が使えなくなってしまったことがありました。そのときは、俊夫の記憶を封印してもらうことで、また魔法が使えるようになったのですが、ラストコンサートを前に、その俊夫の記憶が戻りそうになってしまいます。

コンサートの前に記憶が戻ったら、魔法がまた使えなくなってしまうけれど、1年間やってきた「マミ」というアイドルをちゃんとファンに届けて去りたい。しかし期限が来たので魔法の国からは魔法を回収する“方舟”が来てしまう……。最後にちゃんとコンサートができるのかというハラハラに加え、マミがそれまで歌ってきたさまざまな挿入歌も全部かかる豪華な最終回でめちゃくちゃ盛り上がります。第52話が最終回なのですが、第50話からこのクライマックスに向けて盛り上がっていくので見逃せません。

3.『機甲創世記モスピーダ』(1983年)

ラストは『機甲創世記モスピーダ』というロボットもの。

昆虫のような乗り物に乗っているインビットという謎の異星人との戦いが描かれるのですが、その主人公たちのグループの中にイエロー・ベルモントという美青年がいます。彼は元軍人なのですが、敵に負けてしまった後、軍人であったことを隠すために、女性の声で歌を歌いみんなを勇気づけているキャラクター。今で言うところの“両声類”といいますか、男女の2つの声を使う人なんです。男声の時は、鈴置洋孝さん、女声のセリフや歌は松木美音さんというダブルキャストでした。

第22話の「ニューヨーク・ビーバップ」という回では、主人公たちと別行動をしていたイエローが主人公たちと合流しようと試みる展開があります。そこでビルの上でライブをし、主人公たちに自分がここにいると教えるシーンがあるのですが、変形戦闘機である“レギオス”の戦闘と歌が合体する感じで非常に盛り上がります。

ちなみにこのイエローについては、作中の演奏シーンを集めたビデオ版『LOVE, LIVE,  ALIVE』が当時出たくらい音楽推しでした。男性が女性の声で歌うという先駆け的なキャラクターとしても、このイエローというキャラクターのライブシーンは歴史的にも面白いのではないかと思います。

ぜひこの3作品、ご覧ください。

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