LIFEライフ

ライター:河田良子

本を読む時間が愛おしくなる。自然豊かな朝霧高原で仕事もできる「山の読書室」

富士宮市井之頭地区で見つけた!感性豊かな本に出合える空間

内観
富士宮市猪之頭地区に、“日本一標高の高い極小出版社”と称する古屋淳二(こやじゅんじ)さん、然子(もえこ)さん夫妻が営む「虹霓社(コウゲイシャ)」がある。漫画家・つげ義春氏の公式グッズの制作もしており、このグッズが実は今、SNSで話題を集めているという。詳しい理由については賛否両論あるのでここでは差し控えるが、写真から想像してみて欲しい。
つげ義春公式グッズ
そんな「虹霓社」が2021年7月16日(金)にオープンしたのが「山の読書室/虹ブックス」だ。古屋さん夫妻のたくさんの蔵書を「読書室」という形で、自宅の納屋を開放している。納屋自体はぼろぼろだったので、知人に改装してもらったという。

古道具を活用しており、なかなか雰囲気がいい。天気がよければ窓から富士山を見ることができ、机や電源、Wi-Fiも用意しているので、仕事や勉強ができるコワーキングスペースとしても利用できる。入室は無料で、PC・電源・Wi-Fi使用の場合は2時間500円だ。
Wi-Fiも完備
つげ義春氏の漫画はもちろん、アート、映画、暮らし、オルタナティヴといったサブカルチャー系の本が多く、公立の図書館には置いていないような系統の本が多い。紙芝居コレクターから寄贈してもらったという古い紙芝居も多く、戦時中のものと思われるような兵隊さんの紙芝居も。漫画も比較的多い。子どもにはちょっと刺激的な漫画もあるが、3人の小さなお子さんを持つ古屋さんは「私たちは子ども達には早めにサブカルには触れてもらいたいと思っています」と話す。

独特の本のチョイスは、まるで古屋さん夫妻の頭の中をのぞき見しているみたいでおもしろい。知っている本と出合えたら、それだけで嬉しくなる。個人的には大島弓子氏の懐かしい少女漫画がツボだった。
店内
古屋さん夫妻はもともと東京在住だったが、東日本大震災を機に、地方移住を選択。徳島県での生活を経て、富士宮市に移住してきた。自分たちでまかなえるものは自分たちでつくりたいという思いもある。ナチュラルな暮らしを実践しているお二人の暮らし方、働き方はとても興味深いので、よかったら話を聞いてみてほしい。時々顔をのぞかせるお二人のお子さんたちもとてものびのびしている。

外の屋台では、オーガニックコーヒーやカフェラテ、瓶ビールも提供している。近くに湧水があったり、パラグライダーの着陸場やキャンプ場もあったりする場所なので、アウトドアのついでに立ち寄ってみてもいいかもしれない。

最近はスマートフォンの普及で読書をしなくなっている人が増えている。でも、こういう場所に立ち寄ると、改めて本の良さを再確認することができる。レンタル本棚(レンタル本棚とは、誰かに読んでもらいたい、自分のおすすめの本を紹介したいといった人のためのスペースの貸し出しのこと)や、本にまつわるイベントも行うそうで、「あまり決めすぎずにゆるく営業できたらと思っています」とのこと。霧深い朝霧高原の中、コーヒーを飲みながら読書の時間を楽しんでみては。

DATA

■山の読書室/虹ブックス

住所:富士宮市猪之頭806
TEL:050-7130-8311(虹霓社)
営業時間:木・金・土曜10:00〜16:30
定休日:日~水曜
駐車場:約4台
※入室は無料(PC・電源使用の場合は2時間500円)
※新型コロナウイルスの影響等により営業時間、利用方法等が変更になる可能性があります。SNSで営業状況を確認の上来店を
https://www.instagram.com/niji_books/

店舗情報
 
文:河田良子
福岡県出身、静岡市在住のフリーライター。静岡県内全域でジャンル問わず、さまざまな記事を執筆中。
 
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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