核ごみ文献調査、国が申し入れ 請願採択の佐賀・玄海へ

 経済産業省は1日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査の実施を佐賀県玄海町に申し入れた。町議会が4月26日に調査受け入れを求める請願を採択したことを受け、町民の理解促進などで国が前面に立つ姿勢を示すのが狙い。5月中に実施可否の態度を明らかにする脇山伸太郎町長に前向きな判断を促したい考えだ。

経産省からの文献調査実施の申し入れを受け、記者団の取材に応じる佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長=1日午後、町役場
経産省からの文献調査実施の申し入れを受け、記者団の取材に応じる佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長=1日午後、町役場

 文献調査は市町村の応募か、国からの申し入れ受諾により実施が決まる。申し入れは北海道神恵内村に続いて2例目。経産省資源エネルギー庁の松山泰浩次長(首席最終処分政策統括調整官)が町役場を訪れ、斎藤健経産相名の申し入れ書を脇山町長に手渡した。
 脇山町長は1日の面談後、調査を受け入れるかどうかについて「判断する前に経産相と会って話をしたい」と記者団の取材に述べた。国からの申し入れには「大事にしないといけない」と語る一方「私の結論が出るとは考えていない部分もある」と熟考を重ねていると説明した。
 経産相は申し入れ書で、核のごみの最終処分場に関し「原発の賛否にかかわらず、日本の社会全体で必ず解決しないといけない重要な課題だ」と強調。「仮に文献調査だけを実施することになった場合でも非常に意義がある」と訴え、第2段階の概要調査を前提として受け入れる必要はないとの立場を改めて示した。

 文献調査 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた第1段階の調査。原子力発電環境整備機構(NUMO)が地質図や論文で活断層や土地の浸食状況などを確認し、処分場に適した場所かどうかを約2年間にわたって調べる。市町村が応募するか、国の申し入れに応じることで始まる。受け入れた自治体には最大20億円が国から交付される。

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