静岡人インタビュー「この人」 俳優・遠藤健慎さん(清水町出身) 映画「恋い焦れ歌え」出演

 清水町のシネプラザサントムーンで23日まで公開中の映画で、準主演のKAI役を熱演し、上演初日に同館での舞台あいさつに臨んだ。デビューは2009年。21年の大河ドラマ「青天を衝け」では渋沢栄一の息子の秀雄役を演じた。21歳。

遠藤健慎さん
遠藤健慎さん

 -今作の役柄は。
 「性暴力被害に遭いトラウマ(心的外傷)を抱える主演の稲葉友さん演じる小学校臨時教員・仁の前に現れ、加害者を名乗って追い詰めるラッパーを演じた。ヒップホップが元々好きで、ラップの経験があったことは大きい。モデルがない役柄に自分の色をどう入れるかを探り、稲葉君とカメラの前で芝居をすることで固められた」
 -撮影の様子は。
 「固定カメラで必要な画を撮るのではなく、ハンディカメラで役者の動きを追いかけるように撮影したので、芝居よりドキュメンタリーに近い。初のラブシーンで相手が男性だったこともあり、覚悟を決めて臨んだが、KAIに寄り添うというより、乗っ取られる感覚だった」
 -今作の見どころは。
 「ラップや俳句など言葉で勝負しつつ、役者の体の動きにも意味がある映画。『場の力をそのまま受け取ってもらえますか』と観客に丸投げする部分も多い。理解できない人もいるかもしれないが、数値化ができず、受け取り方も異なる『愛』がテーマ。1度目は仁の立場で、2度目はKAIの立場で観賞すると見え方も変わると思う」
 -初の凱旋(がいせん)の実感は
 「子どもの頃に一番来ていた映画館だったので、本当にうれしい。地元の皆さんが自慢できるスターになるのが目標。年に何度も映画館に足を運ぶきっかけをつくれる役者になりたい」

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