急須文化育むキット開発 ほっとする味と時間伝えたい 江波さん(菊川市出身)起業

 茶文化を次世代に伝えようと、菊川市古谷で3代続く茶農家で生まれ育った江波星見(ほしみ)さん(38)=横浜市在住=が、子どもがお茶のいれ方を学べる「茶育キット」の販売で起業した。江波さんは「親子で楽しく学び、急須でいれたお茶の味やほっとする気持ちを感じてほしい」と語る。

子どもたちと一緒に茶育キットを使う江波星見さん(右)=7月上旬、横浜市青葉区
子どもたちと一緒に茶育キットを使う江波星見さん(右)=7月上旬、横浜市青葉区

 茶育キットは急須、湯飲み、菊川市産深蒸し茶、茶さじ、ワークブックなどのセット。子どもが扱っても割れにくいよう、急須は飽和ポリエステル樹脂、湯飲みはメラニン樹脂を使用。急須は透明で、茶葉の広がりや色が見えるようにした。価格は税込み5800円。
 ワークブックは全19ページで、夏休みの自由研究にも使えるようお茶の種類や歴史、効能などを記載した。茶葉のにおいや飲んだ感想を書く欄、シールを貼る場所も設け、子どもが飽きない工夫を考えた。
 江波さんは大学卒業後、大手通販会社に入社して広告事業や市場事業に携わった。夫の海外転勤を機に退職し、3人の子育て中。首都圏での生活で驚いたのは急須を持っていない友人や、急須に触れたことのない子どもが多かったこと。おいしいお茶を自信を持って渡せずショックだった。「お茶を飲んで家族とだんらんする時間は日本の文化。子どもたちにも伝えたい」。旧姓から名付けた「増田園」として事業を始め、茶育キットの開発に至った。
 今後はお茶の販売に加え、茶育キットの英語版も商品化する予定。江波さんは「農家が減ると茶文化が衰退してしまう。ウェブマーケティングなど自分の経験を生かしてお茶の価値を広められないか」と話した。

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