浜松中心街の交流の場 「黒板とキッチン」閉店へ 世代超え交流育む

 浜松市中区田町、ゆりの木通り商店街の一角にあるコミュニティースペース「黒板とキッチン」が31日で閉店する。オープンから8年。広さ70平方メートルほどの空間に、学生や地域住民が自由に立ち寄って会話を楽しみ、展示会やバザー参加の企画を練るなど若い世代と中心街を結び付けていた。利用者からは惜しむ声が漏れる。

学生や地域住民が集まり交流を楽しむ「黒板とキッチン」=16日、浜松市中区田町
学生や地域住民が集まり交流を楽しむ「黒板とキッチン」=16日、浜松市中区田町
黒板とキッチン
黒板とキッチン
学生や地域住民が集まり交流を楽しむ「黒板とキッチン」=16日、浜松市中区田町
黒板とキッチン

 16日午後、スタッフの学生や常連の社会人が集まってきた。壁の黒板にはイベントの告知やイラストが所狭しと描かれている。スペースの中央に設置されたキッチンではタコスの調理が始まった。
 「黒板とキッチン」は万年橋パークビルの1階に入居する。同ビル管理会社の社長を務める鈴木基生さん=2021年7月逝去=が「中心街に世代を超えて人が集まる場を」との願いを込め、2014年に開所した。比較的近隣に大学や高校がある点に着目し、若者の居場所を設けて商店街のにぎわいにつなげようと考えた。
 建築家の大東翼さん(45)=同区=らが改装作業に当たった。大東さんは「黒板とキッチンという、誰もが触ったことがあり、使えるものを置いた」と名称の由来を説明する。
 鈴木さんが亡くなった後、維持が困難になっていた。当初から利用している村木多津男さん(53)=北区=は「街に人を呼び込むため、展示やアート活動をした。面白い人たちが集っていただけに、閉店は寂しいね」と残念がる。
 一方、同所のスタッフを務める学生らは気丈だ。静岡文化芸術大生3年の宇佐美香奈さんは「学外の大人や高校生と話ができる貴重な場だった。出会った人との交流は続けたい」と前向きに語る。
 閉店を前に29日午後1時から、散会パーティーを同所で開く。運営責任者を務めている大東さんは「悲観的にならず、今を大切にしたい。一人一人がここで何かを得たはず」と声に力を込めた。

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