ウクライナの原発制圧受け清水町へ 避難の60代夫婦、支援感謝

 ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナ南部のザポロジエから60代夫婦が清水町に避難している。29日、町役場に関義弘町長を訪問した。2人は日本の支援に感謝した上で「早く戦争が終わってほしい」と願った。

関町長(奥左)を訪ねる夫婦=清水町役場
関町長(奥左)を訪ねる夫婦=清水町役場


 2人は3月4日、ロシア軍が欧州最大のザポロジエ原発を砲撃、制圧したことを受け、出国を決意。自宅でも爆発音や発砲音が聞こえたという。身の危険を感じた2人はリュックサックだけを背負って電車に飛び乗り、4日かけ着いたドイツで避難生活を送った。「(移動の電車は)丸1日座れないこともあった。地獄のようだった」と振り返る。戦争の長期化を感じ、30代の娘が日本人の夫と暮らす清水町へ6月、避難した。
 日本での暮らしが始まり、「家族が近くにいる平和なところにこられて安心した」と語る一方で、「(母国に残る)親戚や友人が心配。眠れないし、サイレンが鳴るとどきどきしてしまう」と心情を吐露した。ロシアによる侵攻について、妻は「言葉にできず信じられない。毎日人が亡くなっていることがとてもつらい」と語った。
 29日の訪問で、関町長は「静かに安心して暮らせるように協力したい」と迎え入れた。2人には、一時支援金15万円などのほか、同町の農家からビーツ7個が贈られた。ビーツはウクライナの伝統料理「ボルシチ」にも使われる。2人は「サラダやボルシチに使いたい」と笑った。
 町はスマートフォンの貸与やバス・タクシー券の配布を行い、住宅の支援を進める。
 (東部総局・山本萌絵佳)

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