CO2吸収「見える化」 企業と林業家タッグ 浜松「森林健康経営協会」設立

 カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向け、浜松市の企業経営コンサルタントや林業家らがこのほど、一般社団法人「森林健康経営協会」を設立した。二酸化炭素(CO2)排出削減を進める企業とそのエリアの森林を結びつけ、「カーボン・オフセット」を支援する。CO2吸収や生物多様性を可視化する簡易な証明サービスの提供を検討中で、持続可能な森林づくりの一歩につなげる。

「森林健康経営協会」を設立した浅沼代表理事(左から3人目)と林業家の前田さん(同4人目)、第1弾の活動に参画するソミックマネージメントホールディングスの石川社長(右)=浜松市内
「森林健康経営協会」を設立した浅沼代表理事(左から3人目)と林業家の前田さん(同4人目)、第1弾の活動に参画するソミックマネージメントホールディングスの石川社長(右)=浜松市内


 第1弾は自動車部品製造業を中心としたソミックマネージメントホールディングス(同市南区、石川雅洋社長)と連携する。協会理事で林業家前田剛志さん(47)が所有する観音山山麓の約2ヘクタールの「Kicoro(きころ)の森」(同市天竜区)で、ソミックグループの従業員が間伐作業体験に臨む。
 下草など下層植生の回復を含め、実体験を通じて森林が果たす役割に理解を深めることから始める。来年5月までの実証実験を経て10年間に及ぶプロジェクトに育てる予定だ。
 カーボン・オフセットは、CO2の排出抑制では削減し切れない量を、他の場所で実現する削減活動の取り組みなどを通じて相殺する考え方。同協会が想定するのは市場に流通するCO2吸収クレジットを購入する方式ではなく、1、2ヘクタールなど小規模で“顔が見える”森林での実施を視野に入れて「特定者間完結型」を目指す。
 第1弾企業のほかにも準備を進めている。代表理事で経営コンサルタントの浅沼宏和さん(59)=同市中区=は「地域の実情に沿った小さな取り組みから始めることが重要。県内のモデルを全国にも広げたい」と話した。
 (浜松総局・山本雅子)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞