静岡人インタビュー「この人」 伊丹弥生さん 行政相談委員の活動で内閣総理大臣感謝状を受賞
住民の行政などへの意見や相談を聞き取ったり、市町に届けたりして解決促進を図る行政相談員。清水町の相談員として長年活動を続け、内閣総理大臣感謝状を受けた。1997年に委嘱され、2021年3月まで24年間務めた。83歳。
-受賞の感想を。
「思いがけなかった。人に頼られることは幸せ。活動は生活の一部になっていて、好きなことをしていたら賞をもらえた。人生の集大成の賞のように感じている」
-活動を始めるきっかけは。
「平井弥一郎町長(当時)に声をかけられたこと。幼い頃からはきはきした性格で、新しいことに挑むのが好きだった。当時は女性の相談員はおらず、どんな相談があるか分からず不安だったが、挑戦を決めた」
-行政相談委員の活動と果たす役割は。
「町への意見だけでなく、近所のトラブルやお金、夫婦の問題など暮らしにまつわるあらゆる相談を受けた。産地偽装や年金問題などがニュースになると、それらの問い合わせが増えた印象。多彩な分野の知識を求められるが勉強は楽しかった。相談相手から学ぶことも多い。委員は住民が抱える悩みをより早く把握できる。行政では思いつかない提案をすることも必要」
-大切にしていたことは。
「自分を表現するのが苦手な相談者もいる中、話をよく聞くことは必須。気持ちに余裕を持って接し、悩みは自分に置きかえて解決策を考えた。やりがいは相談者の幸せそうな顔を見ること。感謝されて子どもに縁談をもらったこともある。体力と気力があっての活動なので健康にも気をつけた。今後も知識を生かして地域の役に立てたら」
(東部総局・山本萌絵佳)