“生きるもの”慈愛表現 静岡の画家松井さんが個展
作家三木卓さんの静岡新聞連載「鎌倉だより」の挿絵を担当していた画家松井正之さん(76)=静岡市清水区=の16年ぶりの個展が11日、同市葵区の「しずぎんギャラリー四季」で始まった。
60~70代を通じて取り組んでいる、哺乳類や魚類、鳥などを落ち着いた色調で描いた大作約30点を出品した。全て油彩で、キャンバスを黒で下塗りし、少しずつ明度の高い色を重ねている。
日本平動物園(同市駿河区)や旅先のインドなどでスケッチした羊やカバ、カラスなどは、ほぼ全て側面から描かれている。縦横のラインを意識した巧妙なモチーフの配置、限られた色使いによる静的な画面構成も相まって、生きるものへの共感や慈しみを伝える。
松井さんは「近年はマチエール(絵肌)の厚みを意識している」と話し、新たな技法探究への意欲をにじませた。
個展は17日まで。